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舞台:『ロールシャッハ』(小林賢太郎演劇作品) [ラーメンズ関連のこと]

10月に始まった公演も、とうとう静岡の大千秋楽が終わってしまいました。
私は、大阪、東京(銀河劇場)、静岡に観に行きましたが、
それぞれの会場、それぞれの公演、ほんと楽しかったです。


小林賢太郎演劇作品#7【ロールシャッハ】
ロールシャッハ.jpg

作・演出;小林賢太郎
出演;久ヶ沢徹/竹井亮介/辻本耕志/小林賢太郎


ざっくりと正直な感想を言っちゃうと、
【TAKE OFF】と【トライアンフ】の雰囲気を両方持った感じの印象でした。
テンポのいい笑いと、まったりした笑いの両方が交じり合った感じ。
最初は、ちょっと進行がのんびりしすぎだなぁ、
もうちょっとつめて2時間以内に収めたらいいのに・・とも、思っていたのですが、
何度か観るうちに、そのまったり感もアリだな・・と思えるようになった。

さり気ないメッセージ性と、
観客に仕掛けられたトリック(って言っていいのかな?)は、
嫌味がなく、だけど ちゃんと「おおっ!」って思えるインパクトもあった。

TAKE OFFの時のゴールデンメンバー+ワンのキャスティングは
期待通り それぞれの個性を発揮していたし。

そして、なんといっても挿入歌も最高だったしね!
(※大好きなNONA REEVESの「August」が使われていたのさ♪)



HPでの公演前の賢太郎さんによる舞台紹介(予告)はこんな感じでした。

 『ロールシャッハ』というタイトルは、
 心理学で用いられる " ロールシャッハ・テスト " からつけました。
 インクの染みによって描かれた偶然の形。
 これが中心線をさかいに左右対称になっています。
 その図柄は人によって、またその人の心理状態によって解釈が変わる、
 というものです。
 私たちの生活の中にも「人によって解釈が違うこと」って沢山あります。
 ときには同じ事実なのに真反対に解釈されることも。
 それはまるで線対称の図柄の右と左のように。
 答えが一つじゃない場合、どっちも正解ってこともあるわけですから、
 コミュニケーションが不足すると矛盾や対立が生まれたりします。

 それは遠い遠い、もしかしたらもの凄く近い、
 どこかの世界のどこかの国の、ある「作戦」の物語。

 登場人物は見た目も中身もまったく違うタイプの4人。
 何が起こっても解釈は全員バラバラ。
 そんな4人がひとつのことを協力して成し遂げなければなりません。
 当然「すっ」とはいきません。
 はたして「作戦」は成功?失敗?それとも…。


ある国の開拓隊に選ばれた民間人
頑固で怒りっぽい 壷井貢(久ヶ沢徹)
気が小さい 天森平吉(小林賢太郎)
自分の意見をもたない 串田益夫(辻本耕司)の3人が、
開拓隊指揮官 富山塁(竹井亮介)の下で 
世界の端っこである「壁」を壊すために大砲を撃つという作戦に挑む
・・というお話。

ちょっとしたメッセージ性がある・・といっても、そこはやはりKKP。
笑いの部分もいっぱい。
ドカンとした笑い・・っていうより、こまごまとした笑いが そこここにある感じ。

・ドラム缶に入れられて転がされる賢太郎さんの「暗いよ狭いよ怖いよー。」お約束だよね。
・開拓隊体操、壁塗りの時の「滑らかに~」の後のキメポーズ最高。
・役職任命で、串田“発砲手”をからかう壷井“装填手”と天森“観測手”。
 「あ、あの人、第三のビールじゃない?」「安い~♪」に爆笑。
・その他、“ムスカ歩き”とか、“目が~!!”とか、ジブリワードちらほら入れ込んでたり、
・見えそうで見えない風呂上りのオレンヂ君の全裸・・とか。(笑)
久ヶ沢さんのさり気ないテニスボールマジックも、すごかったな。
 二回目以降、ガンミしてたんだけど、わかんなかったもん。アニキも器用なんだねー。
 そして、その後のどや顔も。(笑)

などなど、書ききれないけど、そういうこまごましてるのがいっぱい。


それから、登場人物それぞれのモノローグ場面も良かったです。
怒りっぽかったり気が小さかったりの普段の自分を変えようとする壷井天森や、
作戦後のスピーチ役に任命されたが自分の意見のなさに焦る串田
ホントは曲芸師になりたいのに開拓隊で仕事をしている富山。
最初は、この部分がゆっくしすぎてるせいで
舞台全体のテンポが悪くなってる気がしてたんだけど、
見ていくうちに一番印象にのこる部分になっていってたなぁ。

特に、串田(オレンヂ君)のモノローグが一番好きだった。
「こいつキライ。」「これだから一般人は困るよ。」「こいつもう終わったな。」・・・
自分がいつも他人に吐いてる言葉が、自分に刺さってくる場面。。。
オレンヂ君のシルエットが幕に反転して坦々と映されるところ、
「僕は、自分で自分の存在を否定してしまいました。」って台詞、印象的でした。

でね、このあと落ち込んでる串田を励ます富山指揮官も、いいよ。
「好きな歌は何ですか?好きな色は?好きな言葉は?・・・
キライなものをキライと言うより、好きなものを好きと言おう。私はそういう人が好きです。」ってね。
そして、前のシーンでも富山指揮官が(壷井天森に)言っていた
「イクラがキャビアになろうとするな!シャケになれ!」ってことばが、ここでも生きてくる。
「別の人間になろうとするのではなく、目指すなら今の自分の延長線上の先の自分。シャケですよ。」
・・・これ、心底ぐっと来た。

串田
「好きな言葉は、限定アイテム・・・最先端のものを知るのが好き。
好きな色は、黄色・・・身につけるのが好き。
好きな歌は、これ・・・」

と言って、ラジカセのボタンを押すと流れるメロディ
 ♪Let's Keep on thinking 'bout future・・・♪  最高。

 ※余談。ここで使われてる曲がノーナ・リーヴスの「August」だってことにも、
  観ていて、個人的にめっちゃテンションあがりました。
  (ちなみにオープニングのAugusutっぽいインスト曲も、やはりノーナの曲だったようです。
  後々ギターのオッケンとお会いしたときに教えてもらいました。)
  もともと、KKPのPaper Runnerの主題歌で知り、
  賢太郎さんがDJでノーナをかけてたりしてたこともあって、ノーナにハマったので、
  全てが賢太郎さん始まりなわけですが、
  自分がノーナフリークになっている今、ノーナ×KKPコラボ再びだなんて、
  こんな嬉しいことはなかったなぁ。しかも、大好きな曲だもの。
  使われることは前もって知ってたものの、こんないい使われ方してることにも感激♪ 
  劇場にゴータ君の声が響いてることもそうだけど、
  しかも、これ2番の頭は(2フレーズだけ)こまっちゃんが歌ってるんすよ。
  で、エンディングに響くオッケンのギターソロ。
  そりゃ、感動もします。いい曲なんだよ、これ。
  因みに、賢太郎さん、この曲を使ったのもちゃんと意味がある・・って言ってたそうですが、
  それは、曲名「August」=「8月」の「8」もシンメトリーだって意味でしょうか?さてね。


そうそう、シンメトリーの話。
舞台に仕掛けられていたちょっとしたトリック。
登場人物たちの名前が全員シンメトリーなのは、
早々に気づいていたものの、
舞台上で私たち観客が観ていた全てが、壁の向こう側の世界だったなんてね。
「敬礼をしているその右手」と富山指揮官が指す3人の手が左手であることで、
そのことに初めて気づかされる。
ボタンのあわせ、アニキが金槌やラケットを持っていた手も、
オレンヂ君のエアギターや賢太郎さんのエアウッドベースを弾く手も、
賢太郎さんがメモを取っていた手も、
パーセントマンの傾きも、全部が逆だった。
そして、舞台上にあった漢字も、時間を示す時計の針も、
全てが伏線だったなんてね。
そこで、一気に、パラレルワールドの世界がホントに存在してる(という設定)な
ことを実感させる、、、、、
明かされれば単純なことだけど、ほんと、こういうところ 上手いですよね。



どうやら、今回の公演は収録していないようなので、DVD化がないということみたいですが、
TAKE OFFのときみたいに、もしかして再演とかを視野に入れてるのかな?
また、彼らに会いたいな・・・と、心から思わせてくれる作品でした。



おまけ:
10/29(大阪)、10/31(大阪千秋楽)、11/13(東京天王洲)、11/28静岡大千秋楽の
4公演を観に行ったので、こまごまとしたハプニングや、アドリブのメモなど。。。

・大阪公演のときは、普通だった賢太郎さんの髪型が、東京(天王洲)と静岡では、
前髪ぱっつんのヘルメットヘアみたくなっていた!どこで変えたのか?


・アニキが他の2人にぶつけたテニスボールが客席にまで転がっていったのは、
10/29と11/28。拾ってくれたお客さんに「ありがとう森の小動物たち。」って言っていた。

・嵐の中のバーベキューで飛んでいく従業員の名前を賢太郎さんが叫ぶんだけど、
「スミス!」「スズキさん!」「ミック!」「ロドリゲス!」って、
毎回違ってた。全公演違ったのかしら?知りたいっ。
11/28は、さらに最後に賢太郎さんが「キキンガクルヨーーーー」と、叫んでいた。

・アニキが後ろ向きに放り投げる巻物、私が観た中では成功は四分の1でした。
10/29失敗。10/31失敗。11/13成功。11/28失敗。
成功したときは、ドラム缶の中に水音が響いてましたが、
失敗したときはアニキが口で「ぼしゃーん」って言ってた。

・サーカスの曲芸師のジャグリングは失敗と成功、半々かな。
10/29と10/28は成功。
10/31と11/13は失敗。
竹井さんが「彼らは成功するまで止めませんでした。」と言って、3回くらいやり直し。
失敗した日は、その後の指揮官のへたっぴジャグリングを、
幕の間から顔だけ出して見てるピエロ(賢太郎さん)が
「いや、まじで一回やってみ!難しいからっ!」って客席に叫んでました。

・天森(賢太郎さん)が、表現する荒くれ者=暴れ馬のシーン、
毎回、腰の振り方の独特さが変化してた。
西部劇の酒場のシーン・・的なマイムを入れてたときまであったよ。

・11/28のアニキ。「人に甘くて何でも許しちゃう人が持ち上げるのは、ドラム缶じゃなくて
ティーカップだよな」の台詞を「ティーバックだよな」と言い間違えて、他の3人大爆笑。
「ティーバックの入ったティーカップだよな」と、アニキは無理やり言いなおしていました。
※その後、「人間は間違って学ぶものだ」という台詞の後に、賢太郎さんに
「今日はあなたも沢山学んだってことですね。」と嫌味を言われていた。(笑)

・11/28大砲の掃除をする長い棒をオレンヂ君が受け止め切れなくて、
前の席の人に当たりそうになってしまって、さすがにここは、演者も観客も
「うわぁ!」って、びっくりしてしまってた。(リズムにのってやってたシーンだったから、残念。)

・11/28ドラム缶を蹴って転がすアニキ、足を挟んじゃって本気で痛がる。

・11/13演説する台(木箱)から、落っこちちゃった竹井さん。




カーテンコール:
※役者紹介後の、「敬礼」は、ちゃんと右手になっていた。
 ああ、こっちの世界だ。と分からせてくれる。こういう細かいところいいよね。


大阪千秋楽と、静岡大千秋楽のときはともにスタオベ。
挨拶に加えてまあまあ喋ってくれたかな。

大阪の楽日では、
「辻本君が地元なので」と賢太郎さんが言うと、客席から「コウジくん!」とコールが。
:「今日は、お母さんも来てくれているそうですが、ずっとコウジくんのことは皆で
大事にしています。マッサージとかして・・・。さっきも、裏(楽屋)で、連帯保証人に
なってたところです。」 など。

静岡大千秋楽では、
声(本部の人の)だけで出演していた嶋村太一さんが登場!
賢太郎さんが、通信マイクで通信しつつ
「今、どこにいますか?」と問うと、
「今、結構近くにいます。」って返事。
ここで大歓声が起こって、すぐさま本人登場♪
横に並んだ賢太郎さんが「ちくしょー、スタイルいいなー」と悔しんでたけど、
うん、ほんとに男前さんだしカッコよかったです。

そして、コールandレスポンス。
アニキの「ドカンと一発やってやろうぜ!」の掛け声に、
客席全員で「おーー!」と、右手(←賢太郎さんが「右手で」と指示)を
上げてしめくくりました。

鳴り止まない拍手に3度目のカテコ。
:「オレンヂ君、何か一言ありますか?」
:「え?!」
:「ああ、そうだ、名前ね、変わったの言っといた方が」
・・・などの、オレンヂ君辻本耕志に改名した旨を説明するやりとりがありつつ、
結局は、「ま、オレンヂでいいか。ホンコンさんみたいな感じで。」と、
オレンヂ君って呼んでいいことになったようです。(笑)

ステージから去っていく途中、
測定器(っていうのかな?あれ。)をマイク代わりにして、
「August」をクチパクで歌っていた賢太郎さん
最後に、マイクをステージに置く仕草(山口百恵風に)をして、はけていきました・・・。


end.


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通りすがりの後藤

めっちゃステキなレポですね(((o(*゚▽゚*)o)))思い出したかった好きなセリフが書いてて、嬉しかったですー☆彡
忘れたくないロールシャッハ!
定期的に読みにきまーす笑
ステキなレポ、ありがとうございました!!
by 通りすがりの後藤 (2010-12-06 02:09) 

nanayo

>通りすがりの後藤さん
読みにきてくれてありがとうございます。
私も自分が忘れたくなくて、日記に書きました。
笑いの中に、心に残る言葉が混じっている・・てのが
いいですよね、ロールシャッハ。
とても好きな作品になりました。
by nanayo (2010-12-06 20:46) 

kasumi

はじめまして。
私も楽しかった記憶がよみがえってきました、ありがとう!
最高でしたよね~
私は11月30日に大阪公演に行きましたが、カメラあったような気がするんですよね...真ん中の列の一番後ろに。
隣の方と、「あれ、カメラですよね?今回はとってるんや、やったー」とか言ってたんですけど。
あれ、幻覚!?ww
ロールシャッハは、もう一回観たい作品です。賢太郎さん、お願い!!
周りにファンがいないので、長々とコメントさせていただきました。高校生ってラーメンズしらへんねんなあ~(TT)
気になってたことも言えたし。ありがとうございました!
by kasumi (2010-12-13 15:07) 

nanayo

>kasumiさん
コメントありがとうございます!
ほんと、時間がたつほどにもう一回観たいと思う作品です。
カメラはDVD用のじゃなくても、資料(記録)用の撮影が入るときがありますので、
それかもしれませんね。
DVD化にならないからこそ、自分が観た公演をずっと忘れないで心に記録しときたいですよね。
ほんと、楽しかった。


by nanayo (2010-12-13 18:55) 

ルドルフ

初めまして
自分は'10年のロールシャッハは見られなかったのですが、今年のロールシャッハこそはチケットをとって見に行こうと思い、予習として(ネタバレなところは飛ばしながら)読ませて頂きました。チケットがとれたらですが、公演を見てから、またじっくりと読ませて頂きます。
今から楽しみです。ありがとうございました!
by ルドルフ (2012-08-24 02:54) 

nanayo

>ルドルフさん
コメントありがとうございます。レスが遅くてスイマセン。
チケット無事とれましたでしょうか?
私も、今年の再演ももちろん観に行く予定です!
また、彼らに会えるのを楽しみにしつつも
舞台がどう進化しているのかにも期待しながら、
いまからドキドキ待ち遠しくしています。
楽しみですね、ロールシャッハ♪
by nanayo (2012-09-27 23:18) 

ルドルフ

お久しぶりです。
チケットは無事とれ、今日(正確には昨日)友人と見に行ってきました。
いやぁ、面白かった!
こちらのレポ読ませていただきましたが、本当に細かく書かれていますね。大好きなんだなって、伝わってきます。
前回と今回では、やはり違う部分もあるようですね。僕が見た公演では小林さんがドラム缶で転がらず、代わりに(?)弾を運ぶときに「○いよ重いよ固いよー」って言ってました(覚えてなくてすいません)。
それと、友人と「辻本さんってTAKE OFFのオレンヂさんに似てない?」なんて。バッチリ同じ方だって知りました(笑)。ありがとうございました。
長々と失礼しました。また機会があったら行きたいな。素敵なレポありがとうございました!
by ルドルフ (2012-12-14 00:05) 

ルドルフ

すっかり忘れてました、ごめんなさい。
前回のコメントに態々ご返信くださりありがとうございました。
by ルドルフ (2012-12-14 00:11) 

nanayo

>ルドルフさん
こちらこそコメントありがとうございます。
それぞれのキャラクターの個性が際立ってて、楽しかったですね。
私も、今年の2012年版を観にいきましたが、色々変わってる箇所もあって、新鮮に楽しめました。
(そのレポも先日書きました♪)
KKP、やっぱり楽しいな。
by nanayo (2012-12-20 11:55) 

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