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今日の本:『残り全部バケーション』(伊坂幸太郎) [本のこと]

続けて伊坂作品を読んだ。
ひとつ前に読んだ『夜の国のクーパー』よりも、
私は、断然こっちが好きだ。

伊坂幸太郎
【残り全部バケーション】

残り全部バケーション

残り全部バケーション

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/12/05
  • メディア: 単行本

“裏稼業コンビ「溝口」と「岡田」をめぐる全五章” と謳ってあるように、
5つの短編の連作です。

1作ずつがライトテイストでサクサク読めるのですが、
少しライト過ぎて、ちょっと物足りないかな・・・なんて思いながら1,2章を読みました。
でも、侮ることなかれ、そこはそれ、伊坂作品。。
3章、4章、であれあれ・・・と、それぞれの章のつながりの面白さに気づき、
最終章の潔いラストに、清々しさを感じます。

これ、それぞれが独立した短編小説にちゃんとなっているのに、
さらにそれぞれが連動していて、
本一冊で、丸々一つのストーリーにちゃんとなっているのが面白い。



両親がして、家族が解散する最後の日に、
知らない男からきたメールの誘いにのって、家族みんなでその男とドライブに
行っちゃう話<第一章:残り全部バケーション>

DVをうけている少年を助けるため、
その父親騙して、タイムマシンの話を信じさせてDVをやめさせようとする
<第二章:タキオン作戦>

 
女を誘拐して車に乗せて連れ去る途中で検問に合ってしまう
<第三章:検問>
 
自分の父親の仕事がスパイだと信じている少年が
クラスメイトの岡田君と友達になり、クラスの担任の弓子先生を
ストーカーから守ろうとする話<第四章:小さな兵隊>
 
当たり屋をしようとして失敗して入院した溝口と、
その今のパートナー高田が、その裏家業の大ボス毒島を暗殺を
守ろうとする話<第五章:飛べても8分>


この短編それぞれに、「溝口」と「岡田」のどちらかが絡んでいます。
ただ、時系列は、読みながら上手に頭の中で並べ替えなきゃいけないけど、
あのセリフと、あのエピソードがここでつながった!という
一つ一つのピースが合わさる瞬間は、文句なしに面白いのです。
(こういうの、伊坂さん、ほんとに上手ですよね。)

そして、それぞれの短編の共通点といえば、
ラストが、いったいどうなった(どうなる)のかを、読者の想像にゆだねていること。
それぞれの物語の結末を、あえて最後まで書いておらず、
読者の想像にゆだねているところ。。。
下手すれば、もやもやが残るやり方なのですが、
そうならない“勢いの良さ”があるのです。
読み終わって、さっぱりする。

決して、壮大だったり、複雑だったりするお話ではないけれど、
とても楽しく読めます。
伊坂流の短編がお好きな方は必読ですよ!
 




 

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