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舞台:『Mr.Prisoner』(プレミア音楽朗読劇 VOICARION IV) [お芝居・舞台のこと]

少し前に、何のきっかけだったか、チケットを取っていたこれ、
今日、観てきました。


プレミア音楽朗読劇 VOICARION IV
【Mr.Prisoner】
Mr.jpg

2019.3.17(日)15:00~@サンケイホールブリーゼ


<原作・脚本・演出>藤沢文翁
<作曲・音楽監督>小杉紗代

<CAST>
上川隆也、林原めぐみ、山寺宏一



<Story>
19世紀 英国
ロンドン塔(Tower of London)地下3階には
光を通さない分厚い鉄扉の独居房があった
 そこには一人の囚人が幽閉されていて
囚人の周囲には、不思議な指示が出されていたという・・・
“牢屋番は耳の不自由なものにせよ”
囚人番号252号・・・
彼は「絶対に声を聞いてはならない囚人」と呼ばれていた・・・




山寺さん、林原さん、上川さんの三人が出演って、なんて私得な協演。



・・・と、言いつつも、実は
この作品が今回 再演で、大阪初上陸で、この日が大千秋楽だった
てことすら今日観に行ってから知ったという、
我ながら、下調べのなさ、前知識のなさ・・・。(かたじけない。)
しかし、そんな前情報なしでも、
キャスティングの魅力につられて観に行った自分をほめたい。
よく、観に行ったと!これを逃さなかったと!
それほどに本当に素晴らしい舞台でした。

朗読劇なので、基本、「朗読」なんです、当然ながら。
ステージに立ったスタンドマイクに向かって、声のみで世界を伝えるわけです。
ビジュアルとしては、物語の人物の時代衣装に身を包んではいるものの、
身振り手振りでの表現はせず、舞台上の移動もなく、
ただ物語の本を片手に読み進めていく作業。。。
なのに、なのにあの、物語の世界がどんどん広がっていく様は何なんだ。
舞台となったロンドンの空気、
ロンドン塔の地下の牢獄、
オペラ劇場の様子、
様々な風景がありありと客席に伝わってくるんです。
まさに、山寺宏一、林原めぐみ、上川隆也の凄さここに極まれり。 でした。



山寺さん:囚人252号(エドワード・ホークウッド伯爵)他 全9役
「絶対に声を聴いてはいけない人物」(その声に魅了されてしまうから)という、
ものすごい設定の役どころにも関らず、さすがの説得力ある声色。
メインのエドワードの存在感たるや圧倒的で、
放たれるセリフの一つ一つが何度も胸に突き刺さりました。
そして、それ以外の全9役という、山寺さんにしかできないであろう芸当を、
…いや、芸当、というよりむしろ芸術の域で見せつけてくれた。


林原さん:レス(牢屋番の孫娘)
 大人のレスと、少女時代のレスの2つの年齢を、瞬時に行き来するその声は、
まるで魔法。純粋な少女であっても、決して子供っぽくなりすぎず、どこか憂いて
いる姿も、その葛藤も、見事でした。


上川さん:チャールズ・ディケンズ/クライヴ・ヘイスティングス卿
 2役の声の使い分けの見事さもさることながら、
「朗読劇」という縛りの中で、舞台上で衣装に身を包み、観客の前に立っていると
いうことを最大限に生かして、上川さんはその視線、表情までがすばらしかった。
なにあの佇まいと表情で魅せる存在感。そして、セリフを言っていない時の無言の演技まで、
舞台俳優然としてて、流石。すごい。
上川さんは、ほぼ手元の本に目を落とすことなかったんじゃないかな。



そして、生演奏の音楽による極上の彩りと、
照明の効果で魅せるステージ演出も、とても素晴らしかったですね。



また、物語自体もとても印象的だったことも、忘れてはならない要素。
19世紀のロンドンの監獄・・・という、憂鬱で暗い印象の物語を、
胸に残る言葉の数々が、観客を虜にしてくれた。

「どんなにうらやましがられる場所に居ても、自分が出たいと思っていて
 そこから出られなかったら、そこはもう牢獄だ。」

「心が自由な限り、私は囚われ人ではない。」



カーテンコールでは、
演奏人による劇中曲を3曲(だったかな)を、再演奏してくれるという
嬉しい計らいがあり、
そして、キャストのお三方の挨拶では、
「ぜひ再々演をしたい」と、それぞれに言ってらしたので、
きっとまたやってくれることを、期待したいと思います。


いやぁ、ほんと素晴らしかった。





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