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舞台:『きみがいた時間 ぼくのいく時間』(演劇集団キャラメルボックス) [キャラメルボックスのこと]

本公演は一通り全部観にいく、キャラメルボックスの舞台。
今年の1発目は、人気もあるし私も大好きな「クロノス」シリーズの新作です。

【きみがいた時間 ぼくのいく時間】
 原作    :梶尾真治
 脚本・演出:成井豊
 出演     :上川隆也 西山繭子 岡内美喜子 西川浩幸 温井摩耶
         阿部丈二 渡邊安理 筒井俊作 坂口理恵 
         岡田達也 左東広之 青山千洋 三浦剛 小林千恵


 08.4.25(金)19:00~@大阪厚生年金会館芸術ホール



クロノスシリーズは、
梶尾真治さん原作の小説【クロノスジョンターの伝説】を舞台化したもので、
いわゆるタイムトラベル・ロマンス。
“愛する人を助ける為に時をとぶ”という、言っちゃえばお決まりのテーマなんだけど、
これが、すごくいいんです、ほんとにほんとに!!

カジシンさんの原作のファンでもあり、
キャラメルボックスお得意のタイムモノのファンでもあるため、
このコラボは、シリーズ一作目から期待値大で、
実際に観にいった過去作品3作ともに、素敵だったから、
今回の新作も、とっても楽しみにしていました♪

で、実際観に行って来てどうだったのか・・・・・?

よかった。ほんと、素敵な舞台でした。

まずは、開演前の時間。
いつもは、製作総指揮の加藤さんが、
前説として、舞台上で注意事項や物販のお知らせなんかをするのが常なのですが、
今回はそれはなし。
声だけの登場ですが、主演の上川(隆也)さんの生アナウンスがあります。
注意事項等にプラスして、楽屋ネタや役者の話なんかを日替わりで喋るそうで、
この日は、「大阪公演中に通っている某お好み焼きやさんのふしぎ」という内容でした(笑)
店員さんの10本の指全部に絆創膏が巻かれている日があったり、
救急車が店前に横付けされてる日があったり、
パトカーが店前に横付けされてる日があったり・・・云々。
気になるので、公演中毎日この店を見守っていく所存だそうな。。。
他の日はどんな内容のお喋りだったのかしらね?




ストーリーはというと、原作に忠実に、しかし登場人物やエピソードのプラスαはあります。
でもこれ、原作者のカジシンさんが、原作で書き足りなかったところを
脚本の成井さんに伝えて膨らませたそうなので、もともとの雰囲気を壊すことなく
原作ファンでも違和感なく観られるようになってたんじゃないかな。
「愛する妻の死の原因となった事故を回避するため、
クロノススパイラルという名のタイムマシンに乗って過去へとぶ」という話なのですが、
過去にほんの少ししかいられない、シリーズ第1作~3作目までのタイムマシン)
と違って、過去へ行ったらずっとそこに居られる(ただし39年前にのみ)ので、
制限時間の焦りや、何度も何度もトラベルを繰り返すというスピード感は
そんなにないのよね。

ただ、その代わり、「運命のその日」の為に過去の世界でひたむきに生きていく、
主人公:秋沢里志の芯の強さや愛の深さをひしひしと感じるの。
決して、舞台全体が派手派手なイメージってわけじゃなくて、
静かなスペクタクル というか、
丁寧な大胆さ というか、
冷静な熱さ というか。。。。そんな感じ。


キャラメルボックス初の途中休憩ありの2時間越えのステージ。ということもあり、
ストーリー展開が実に丁寧にじっくりとしていた点も、
この【きみがいた時間・・・】の話に合っていた気もします。
里志と紘未の恋愛や結婚生活のエピソードを丁寧に見せてくれたから、
この「ひたむきさ」の原動力に納得できたし、応援できたんだと思うの。
そういえば、こんな正統派のラブストーリーど真ん中の芝居を観るのって、
ほんと久々だったけど、
人を好きでいるって、いいなぁ、素敵だなぁ。って、心から感じられたよ。


あと、全体を通して、すっごく魅力的だったのが、
坂口さんが演じた純子の存在。
この人ってば、なんて健気で切なくてしっかりした女性なんだろうって思った。
恋としては叶わない思いでも、人を好きになってその人の為にそばで支える。
そんな辛い選択ってあり?って最初は思ったけど、
よく考えたら、純子さんの顔、とっても幸せそうに見えたんだよね。
・・・そんな幸せの形もあるんだね。ってことが、なんとなくわかった気がしました。





さて、キャストについて一言ずつ。


■上川隆也さん■(秋沢里志)
3年ぶりに上川(隆也)さんがホームグラウンドであるキャラメルボックスの
舞台に帰ってくるっていう点からして、
楽しみの要素としては十分だったんですが、
そういえば、私、上川さんを生で見るのって【TRUTH】以来の2度目なわけで、
あの時は時代劇だったから、現代劇で見るのは事実コレが初めてだったんだ!!
(キャラメル恒例の、オープニングの全員ダンスのときに気がつきました。)
まぁ、舞台上では役者の年齢設定のふり幅の広さはわかっていたけれど、
上川さん、わかいよなーーー。って、つくづく思った。
40オーバーだなんて、信じられないさわやかさとかっこよさでした。
ほんと、カッコいいんだもん。びっくりしました。
岡内さんに「ここでしかできないからって・・・・」と突っ込まれつつも、
床を転げまわってダダこねするシーンとか、
岡田さんに「イタリア人のフリをした鳥取県民だろう!!」と突っ込むところとか、
「巧名が辻?見てたわけないだろう!」と自己ネタで盛り上げるところとか、
全てが新鮮でした♪
そして、何より・・・やっぱり上手い。
アクがないのに、さりげないのに、人の目をひきつける演技ってこういうことなのね。


■西山繭子さん■(梨田紘未)
こんかい唯一の劇団員以外のゲストさん。
この方の演技を観るのは初めてだったのですが、舞台に立ってて
ちっとも違和感がなかったです。
他のメンバーになんだかとっても溶け込んでらした。
可愛らしい人です。


■岡内美喜子さん■(秋沢真帆)
原作にはなかった、役どころ。
主人公の妹であり、この舞台のいわゆるストーリーテラー。
数々のヒロイン役をこなしてきた岡内さん、相変わらずキレイだ。
実は毎回、公演ごとにガラッと変わる岡内さんの髪型が楽しみだったりするのです。
ここのところ、続けて本公演に出まくってますが、
役に合わせて演じ分けるってのと同じく、
外見の印象のチェンジで楽しませてくれるのも、女優さんの魅力のひとつよね。


■西川浩幸さん■(野方耕市)
クロノスシリーズで唯一、共通の人物の役で登場する彼。
野方さんが出てくると、「ああ、クロノスだ。」って実感します。
今回も、ちゃんと例のシャープペンシルもちゃんと胸ポケットに☆
「野方耕一の奇跡」の舞台化があるといいね。。。

■温井摩耶さん■(若月まゆみ)
温井さんの演じる「カッコいい女」とか「仕事が出来る女」とか「悪女」とかの役が
好きです。似合うもの。
今回は、研究者の白衣がとってもお似合いでした。
可愛いヒロイン・・・ってのもいいけど、
これからもカッコいい女街道を貫いて見せて欲しいです。


■阿部丈二さん■(山野辺光夫)
飛行機マニアのエンジニア。
常にパイロットちっくな服装なのも、わかりやすいね。
ちょっと、コスプレ要素もあるか・・これ?と思いつつも、似合っていました。
ジョージさんの正統派の主人公って、観てみたいんだけどなぁ。
なかなか、いつもサイドキャラ・・それも、個性的ってのばっかりよね。
男前キャラで十分いけると思うんだけど・・・。

■渡邊安理さん■(佐藤小百合)
天才的なプログラマー研究員なのに、やっぱり安理ちゃんらしい
サイケデリックな衣装がまぶしかったです☆
そんな派手な研究員いるかーー?てくらいに徹底しててある意味気持ちいいけどね。

■筒井俊作さん■(広川圭一郎)
もう、筒井さんの老役は流石堂に行ったものですね。
違和感ぜんぜんない社長で、ナイス!!
「まつさをな」の親方役の時から完璧な老役を見せてくれてますから、
これからもどんどん、貫禄あるトコを見せていってください。

■坂口理恵さん■(柿沼純子)
上記したとおり、素敵な役柄。
この純子という役、坂口さんだからこその芯の強さが伝わってきたんだと
思います。強い女・・・だけど、切ない面も何もかも、憧れます。

■岡田達也さん■(柿沼浩二)
悪役だよなぁ。。。今回。
ただ、悪役なのに、切れ者ではない種類の悪役なところがちょっと新鮮でした。
情けない頼りない役のおっかーさんが好きで、
とことん悪い悪役のおっかーさんも好きで、
今回は、なんだかそれがブレンドされたような役だった。
浩二・・・がんばってくれよ。頑張って生きてくれよ。と、ストーリーとは別の部分で
応援したくなりました。
その役以外にも、怪しいイタリア人の役をもやっていましたが、
あれはちょっと弾けすぎだろう?イタリア語の中に鳥取弁(?)を混ぜるのは卑怯です。
でも、好きです。

■左東広之さん■(柿沼英太郎)
過去の世界での馬車道ホテルの支配人役ってもよかったんだけど、
それよりなにより、今回の左東さんは、レストランのウェイター役のときが
インパクトありすぎだったよ。
なにあの、ステップ(笑)!!なにあの、「シャンペン」の発音へのこだわり!!
かわいいわーーー。左東さんを観て可愛いとか思ったのって、これが初めてだよ(笑)。

■青山千洋さん■(萩原芽衣子)
青山さんも、普通に美人さんなのに、キワい役多いですよね。
いつかバリバリのヒロインを是非見たいです・・・。

■三浦剛さん■(栗崎健)
真面目な青年役。たたずまいだけで、実直さがにじんでて○。
婚約者とのラブラブなシーンがなんか可愛かったよ。

■小林千恵さん■(12才の紘美)
よ!!子役を地で行く29歳!!
中学生の制服が「素」過ぎてビビリます。
そのせいで、途中でちょこっと出てきた婦警さんの役のときが、
違和感あったのが残念かも。




なんだかんだで、久々に観たキャラメルボックスの舞台。
面白かったです♪


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phin

nanayoさん、こんにちは。
やっぱり素晴らしかったようですね。カジシン+キャラメルボックスは、無敵です。
しかも“原作で書き足りなかったところも”舞台で補われているだなんて、無敵どころの騒ぎではないです。戦わずにして圧勝じゃないですか。

>キャラメルボックス初の途中休憩ありの2時間越えのステージ。
原作は短編の量ですよね。それが2時間ですか?!どう膨らんでいるのでしょうか?興味が湧きますね。

by phin (2008-04-29 23:51) 

nanayo

>phinさん
こんにちは。
はい!!久々に生で見るステージ上の上川さんの秋沢里志は、
もうイメージぴったりでした。
(梶尾さんが上川さんをイメージして書いたといってらっしゃるから当然かもしれませんが。)
今月16日の深夜にBSで放送があるそうなので、もしも見られる環境なら是非♪

こうなったら、野方耕一の軌跡も舞台化して欲しいなぁ。。。なんて。
by nanayo (2008-05-02 21:30) 

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