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舞台:『ハックルベリーにさよならを』 + 『水平線の歩き方』(キャラメルボックス) [キャラメルボックスのこと]

キャラメルボックスのハーフタイムシアターに行って来ました。

※演劇では平均2時間ほどの長さのものが一般的なのですが、
 ハーフタイムシアターとは、それを
一本60分の短編演劇としてやっちゃおう
 という演劇集団キャラメルボックスならではの試みです。
 そのハーフタイムシアターも今回で10回目なんだそうな。。。

観てきたのは、『ハックルベリーにさよならを』と、『水平線の歩き方』。
どちらも、本日が神戸の千秋楽でした。
 

【ハックルベリーにさよならを】
 
08.7.13(日)14:00~@新神戸オリエンタル劇場
 
 CAST:
  大内厚雄/實川貴美子/坂口理恵/岡内美喜子/
  篠田剛/多田直人/阿部祐介/井上麻美子  

12年ぶりの再演となるこの作品。
キャラメルボックスのハーフタイム・・・といえばコレ。
みたいなところがあるのかもしれないけれど、
私は今回が観るのは初めてだったので、
なにもかも新鮮でした。

12歳の少年が主人公というのと、カヌーでの川下り・・
という要素だけは知っていたこともあって、
さわやかで懐かしい「少年時代の冒険モノ」的な心構えで
観にいったのですが、
なんだかそれだけじゃない、色んな思いや考えを呼び起こさせる
けっこう難しいテーマだったような気がしました。

「前向きな展望」と、「消せない後悔の残像」・・・
そのどっちにもとれる展開と結末。
「ボク」の中では、
過去のあの時から「止まってしまっている時間」と
「再び動き出した時間」の両方が混在してるんだなという
不思議な両極のバランス・・・。
観終わって、まだなんだか頭の中がぐるぐるするよ。。。

ただ、なんとなく思ったのは、
幼い頃の行動と選択を、きっとまだ「迷い続けているんだ」 ということ。
ふとしたきっかけで、後悔の種だった“それ”をふっきったとしても
ふとしたきっかけで、またそれを思い返す。
何が正しくて何が間違っていたのか?
・・・正解のない選択の答えを、何度も思い直しながら
その時の自分の思いで塗り直し塗り直ししていく人の気持ちを
見せてくれたような気がしました。
スパっと気持ちよく、観終われるキャラメルの芝居のイメージとは
この作品はちょっと違う気がするね。

“ボク”のモノローグとケンジの行動や、
現在と過去の接合点が、ちゃんとつながっていない、
パラレルワールドを含む世界観も、

解釈の幅を広げる(・・・というか曖昧にする)ためなのかもしれない。


シビアな設定がシビアなまま、観客の考えにゆだねらる舞台だったよ。。。

ただ、ラストに、「ボク」の前で動き出す砂時計の砂が
ちょっと明るい兆しを見せてくれてる・・・って意味だったらいいね。
(天井から降ってくる砂をボク役の大内さんが帽子で受け止めてる
このシーン、いいよね。イチバン好きなシーンです。)



【水平線の歩き方】
 08.7.13(日)16:00~@新神戸オリエンタル劇場

 CAST:
  岡田達也/岡田さつき/前田綾/青山千洋/
  左東広之/小多田直樹/久保田晶子/鍛治本大樹


【ハックルベリー・・・】とは、またちがって、
こちらは「人は一人で生きてるんじゃない」って、明確なテーマが
見終わった後にぐっと心に突き刺さってくるわかりやすさの舞台。
【ハックルベリー・・・】と同じなのは、
“12歳だった少年時代”が主人公の心のポイントになっているところかな。

主人公の幸一を演じる岡田達也さんが、
1時間舞台上に出ずっぱりなのもすごいけど、
最初のシーンから最期のシーンへ行くほどに、
お母さんと喋っている幸一がどんどん少年に見えてくるの。これ、すごくいいの。
「そうかなぁ~?」とお母さんに投げかける台詞の言い回しとか、
ワザとらしく甘えたに喋ってるわけじゃないのに、
一言一言が、すごい「母と子」の温度というか湿度をもった会話になっていくの。
だから観てて、まぁ、もともとが涙を誘うシーンではあるものの、
それとは別に、二人の空気に自然と涙がでてくるんだよね。
これは私が、岡田達也さん贔屓で見ちゃうせいなのか?
いや、それだけじゃないはずだよ。

ラストのほうに、お母さん役の岡田さつきさんが言う
「ここから4.4キロ先!」という台詞がぐっと来ます。あそこ大好きだよ。


そして、もう一つ「ここ好き!」と思ったところ。
キャラメル恒例の全員でのダンスシーンのラストに
岡田達也さんが見せる笑顔。
あれ、絶対意味があるよね。。。。(って思ったんだけど、どうだろう?)
ラストまで観て、余計に蘇ったのがあのダンスシーンラストの表情だったんだもの。
(それって、ただファンだからだろう?と言われちゃえばおしまいだけどさ・・・。笑)





さて、そんなハーフタイムシアターの2本立て。
今日が神戸千秋楽ということもあって、
それぞれのカーテンコールでは役者一人一人の一言挨拶がありました。
せっかくなので、記憶の許す範囲で記載。


<ハックルベリー・・・>チームのカーテンコール
 
 「12月6日より始まった神戸公演・・・」と、
 大内さんが日付を大幅に間違えて言い出しちゃってキャスト陣大コケ(笑)
 ホントは“7月”6日からです。
 大内さんらしい・・・挨拶のスタートなり。
 (って言ったら、怒られちゃうかね?いや、それも味です。)
 
・阿部祐介さん(セコ先輩)
 「ヘッドライトで、毎回坂口さん点灯しつづけました。
 こわかったです。」

・多田直人さん(コーキチ君)
 「背負っているリュックが開いてしまっている時がありました。
 中には筆記用具じゃなくて蛙のぬいぐるみが入っているんです。
 袖に引っ込んでから気づいて・・・
 「ちょ、待てよ!」(←劇中でもモノマネしているキムタク風)と思いました。」

・篠田剛さん(父さん)
 「妻であり劇団員の中村恵子が妊娠9ヶ月目です。それも双子です。
 これからは、“パパだっち”って呼んでください。」

・井上麻美子さん(アベさん)
 「アベチカコを演じるにあたってこの髪型(おかっぱ)にしました。
 ちびまるこちゃんやワカメちゃん、と皆に言われます。
 いい(髪型の)アレンジ法を考えたいと思います」

・岡内美喜子さん(カオルさん)
 「ウェディングドレスを劇中で着ると婚期が遅れるとよく言います。
 着ても居ないのに、遅れています。今回も(劇中でも)婚期を逃しました。
 せつねーーー!!!」

・坂口理恵さん(母さん)
 「久々に六甲牧場に行ったら、ヤギに押し倒されそうになりました。
 まだまだモテモテよ!!」

・實川貴美子さん(ケンジ)
 「今回の芝居で眉間にしわがつきました。
 こんな(少年の)格好をしていますが、26歳の女です。
 いいパック等ありましたら、アンケートに書いて教えてください。」

・大内厚雄さん(ボク)
 「劇中で、ボートに見立ててケンジを乗せた机押しています。
 乗っているほうはとても気持ちいいそうです。・・・ので、
 一回100円で(お客さんを乗せて)やったらけっこうもうかるんじゃないかな・・・と。」


<水平線の歩き方>チームのカーテンコール
 「12月6日ではなく、7月6日から始まった・・・」と大内さんの↑ミスを受けて
 岡田達也さん仕切りでの挨拶。

・鍛治本大樹さん(新太郎)
 「劇中では出てきませんが、新太郎は高校ではラグビー部です。
 ・・・が、兄に飛ばされ、母にも吹っ飛ばされ、その道を断念しました。」

・小多田直樹さん(勇治)
 「いつも、生え際が・・・とネタにしてきましたが、
 そろそろ笑い事じゃなくてなってきました。いい薬があれば、教えてください。」

・青山千洋さん(一宮)
 「劇中で左東君が私をお姫様抱っこするシーンがありますが、
 一度胸に手があたったことがありました!・・・と東京楽で言ったので、
 気をつけるかと思っていたら、神戸公演では毎回あたるようになりました。
 責任取んなさいよね!!」

・久保田晶子さん(奈穂子)
 「50代を演じることになったので、化粧品も50代からの化粧品エビータに
 変えました。」

・左東広之さん(豊川)
 「劇中では出てきませんが、僕のやっている豊川という役の
 下の名前は悦司です。」

・前田綾さん(阿部)
 「東京楽でも言いましたが、この(セットの)幸一の部屋にアベチカコの痕跡が
 全くないのは腑に落ちません。・・・なので、
 今日は、冷蔵庫に私のものを色々入れておきました。」
 (岡田達也さんに見に行くように促がす。 見に行ってみると、チカコと書かれた
 食べ物(?)が色々入っていました。笑)

・岡田さつきさん(アサミ)
 「岡田達也さんの頭を撫でるシーンがありますが、
 料理をして(劇中でほんとにしている)ねぎを切ったあとに、
 岡田さんの頭にねぎを付けてしまったことがありました。」

・岡田達也さん(幸一)
 「先日、田舎の母親が見に来てくれました。
 そして言われました。「なんでお前は、いつも死にそうな役とか、死んだ役とか、
 そういうのばかりなの?」と。
 今度(演出の)成井さんに聞いておこうと思います。」



その後、ハックルベリーチームも舞台上に呼び、
全員集合したところで、恒例の篠田さんの3本締めを会場全員でやりました。

それでも、拍手がなりやまないので、
ラストのカーテンコールに出てきたときには、役者さんみんなで、舞台に正座しての挨拶。
岡田達也さんが
「今はなき、・・・生きていますが、劇団OBの近江谷太郎の言葉を借りて言います。
とっとと帰りなさい!!!」
と言ってお開きになりました。

楽日はいつもちょっとお祭りなんだよね。
楽しかったです。


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コメント 6

クレマチス

うむむむぅ。
観たいぞ。両方とも。
ぐぐぐっと心を押されたい。
by クレマチス (2008-07-14 21:02) 

pasoe

ハックは自分も行きましたのでコメント。
演出中々面白かったですよね。水にも驚きましたけど、ラストシーンは自分も好きです。
早足だったのですが、あの同じ色の絵の話は好きです。
by pasoe (2008-07-14 22:58) 

nanayo

>クレマチスさん
この2本は、公演期間がもうすぐ終っちゃうけど、
キャラメルボックスは、年間 何作品もやっているので、
見に行きやすい劇団だと思います。

機会があればぜひ♪
by nanayo (2008-07-15 22:20) 

nanayo

>pasoeさん
ハックは、過去公演を知っている周りのキャラメルファンの中でも
賛否意見が分かれてたので、
初めて見に行く私としては、正直 期待と不安両方だったんです・・・。
確かに、いつも以上に展開が速くて(キャラメルはいつもテンポが早いん
だもん、)もうちょっと間が欲しい気もしましたが、
それも味かなと。
うんうん、あの絵の例え話は良かったですよね。
素敵っぽかった。


by nanayo (2008-07-15 22:26) 

桔斗

名古屋、楽に行ってきたよ。
両方とも観られた!ちょっとした奇跡かもね。自分的に(笑
by 桔斗 (2008-07-20 19:32) 

nanayo

>桔斗さん
わーーー、行けたんですね!!それも楽日!!
地元で迎える大千秋楽を見に行けるのは感慨もひとしおなんでしょうね。
忙しい仕事の合い間に、エネルギー充電できましたか?



by nanayo (2008-07-20 20:19) 

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