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舞台:『嵐になるまで待って』(演劇集団キャラメルボックス) [キャラメルボックスのこと]

ほんとは、この一つ前にも別の舞台を観に行ってるのだけど、
そっちはも一度15日にも行くので、それが終わってからまとめてレビューを書こうかな・・・と。
(ちなみに、そっちってのは、
KKP#6【TRIUMPH】です♪ふふふ。)

さて、昨日観に行ったのはキャラメルボックス、

【嵐になるまで待って】

 脚本・演出:成井豊 
 出演:渡邊安理/細見大輔/西川浩幸/温井摩耶/三浦剛/石原善暢/阿部丈二/小林千恵/
 ゲスト:久松信美/土屋裕一

 08.9.13 19:00~ @シアターBRAVA!

劇団でも、何度も上演されているおなじみの、キャラメル唯一のサスペンスです。
「二つ目の声」という特殊な力を持つ波多野と、
その秘密を知ったがゆえに声を奪われてしまう声優志願のユーリ
を中心とした物語で、
波多野の姉ユキエが生まれつきの聾唖者・・・という設定もあり、
物語のいたることころに手話が盛り込まれています。

特殊な声の力で人を操る・・・
自分の声が嫌い・・・
声を奪われたヒロイン・・・
生まれつき声が出せない人物・・・

「声」がテーマになっている作品ですね。

おなじみ・・・と言っても、私が観た過去作品は映像だったので、
生での【嵐になるまで待って】は、実は今回が初めて。

ストーリーは知っているし、
自分の中で印象的だった配役は、(西川さんの広瀬教授以外)皆入れ替わっちゃってるし、
さて、どんな感覚で観ることができるのか?
ちょっとドキドキしながら行ってきました。



テーマ曲の【The Riddle】がオープニングで流れたときは、
ちょっと感激しました。
手話を交えたあの全員ダンスが素敵でした。
(話しが脱線しちゃうけど、去年旅したハンガリーのショッピングセンター内の
BGMでこの曲がかかって、「うわ。キャラメルだ!嵐に・・・だ!」ってドキッとした思い出があります。)




ヒロインのユーリを演じていた安理ちゃんも、
一生懸命さが伝わってきて良かったけど、
やっぱり一番印象的だったのは、
波多野姉弟を演じた、細見さんと温井さんだったな。

温井さんが、一番最初のシーンで見せた切ないけど強い笑顔。
物語の本編が始まるのはこれからなのに、
一番気持ちを持っていかれたのはあの最初の場面だったかもしれない。
声が出せない分、手話や体や表情全部を使った表現が、
観るものの心につきささる強さをもっていたよ。
温井さんが今まで演じてきた(ヒロイン・悪役含めて)中で、いちばんこの役が好きです。

細見さんは、まあもちろんクライマックスの例の傘を持ってのアクションシーンは
もちろん怖さ爆発だったんだけど、
台詞を言わないときの、ふっとした目線とか吐息がね、ぞくっとくるの。
笑っていても、無表情でも、にらんでいても、全部が怖さにつながっていた。
今回、ど真ん中の前から4列目くらいで観てたので、表情がすごく分かって
それを実感できました。
でも、カーテンコールでは普通ににっこりして笑ってる細見さんは、すごく可愛くて、
その波多野を脱いだときの空気のギャップがいいですね。

カーテンコールといえば、
ラストの挨拶は温井さんがされたんですが、
温井さんてば最後まで手話で通していました。一言も声をださないのは、
お客さんにユキエのイメージをそのままもって帰って欲しかったからかしら?
手話で伝える挨拶を、隣で細見さんが通訳してるのが、素敵だったなぁ。
(ヘンな風に訳しちゃって、会場を笑わせてたりもしたけど。)



さて、この作品。
ストーリーの中で好きなところは、
歪んではいるけれど、姉を思い必至になる弟と
その弟の悪事を知っているのにずっと気づきたくなかった姉。
ふたりの悲しさと愛情の強さがせつない部分。
愛と同時にエゴもあるところが、人間のズルサや怖さを見せ付けられる気がした。



そして、「俺はユーリを好きになっていない。これから好きになるんだ!」
という名台詞で象徴される、
ユーリとコーキチ君の純な愛の清清しさ。
恋愛もモノと言ってしまうほど、まだ何にも始まっていないけれど、
それでも、きっとここから始まるだろう何かを感じさせてくれます。






ただ、ちょっとだけ、いうならば、
「波多野の声とユーリの声が似ている」という設定だけは、
気になっちゃうんだよね。

・二人の声が似ているからこそ、ユーリには波多野の2つ目の声が聞こえる。
・ユーリがコンプレックスを持っている男みたいな声のせいで、コーキチ君に思いを伝えられない。
とか、物語のなかで重要な要素が、
原作の小説ならば 問題なくても、
実際に舞台上でとなると、問題ありありで気になってしまいます。
だって、安理ちゃんの声は別に男っぽくないし、細見さんの声と全然違うんだもん。
(「普段はそれほどではないが、大声を出したら似ている」ってのも、余計に説明くさく感じてしまう。)
大事な部分で説得力がない、ってのが残念な点。
これ、岡内さんと岡田さんでやったときも、違和感あった部分だったんだけど、
うーーん。「そういう設定」にしてあるんだから、そう思い込んで見なきゃいけないんだろうな
って自分に言い聞かせてもなかなかぬぐえない・・・。
その辺は、みんな割り切って観てるんだろうか。
演劇における舞台上の視覚的想像力は、けっこう対応できるんだけど、
唯一つ、この点だけは、生で観てもやっぱり受け入れられませんでした。



うん。でも、【嵐になるまで待って】がようやく生で観られて嬉しかったです。


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koba

細見さんが主役を演じている作品を初めて観たのですが、熱演でしたね。
こんなすごい演技ができるんだと、正直びっくりしました。
声のことは、やっぱり観たときに「似てないよなぁ。」「無理あるよね」と思ったけど、それが前提だからと自分自身を納得させました(笑)
何はともあれ、キャラメルのサスペンス作品、十分堪能しました。
by koba (2008-09-15 09:31) 

nanayo

>kobaさん
細見さん、熱演でしたね。
6年前に演じたコーキチ君は、さわやかっ!って感じだったのが、
一変して波多野の冷酷さをまざまざと見せつけてくれた。
笑っててもねーー、怖いんですよねー。

声のことやっぱり気になっちゃいますよね。
ま、それは暗黙のなんとか・・・で、言及しなくていいことかもしれないんですが、
ついね。前から思ってしまっていたことなんで、書いちゃいました。(笑)

by nanayo (2008-09-15 09:50) 

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