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舞台:『容疑者Xの献身』(演劇集団キャラメルボックス) [キャラメルボックスのこと]

久々に、新神戸オリエンタル劇場に行きました。

演劇集団キャラメルボックス 
2009スプリングツアー の、大阪初日公演を観てきたの。

【容疑者Xの献身】

 09.4.18(土)18:00~@新神戸オリエンタル劇場

[原案・原作]東野圭吾
[劇作・脚本・演出]成井豊 
[出演]西川浩幸 / 岡田達也 / 西牟田恵 / 斎藤歩 / 川原和久 / 大森美紀子 / 前田綾 /
    
三浦剛 / 筒井俊作 / 實川貴美子 / 石原善暢



そう、ドラマにも映画にもなった東野圭吾さんの原作の有名な作品。
それをキャラメルボックスがやっちゃうってんだから、これは観ねば。


正直、この公演が決まったときには、
「なんでキャラメルがコレを?」と 疑問にさえ思っていたのだけれど、
今回観終わってみての感想としては・・・・

「すごく良かった。」それに尽きます。




元々、東野作品のガリレオシリーズは好きだった。
その湯川教授シリーズの長編が出たと喜んで、数年前に読んだ【容疑者X・・・】は、
今でも東野作品でTOP3に入るほど好きだし、 
去年映画化されたときも、もちろん観に行って、堤真一の演技に感動して
あたらめていい作品だと思った。

ストーリーを知っているミステリーを見直すことほど
面白さにリスクがあるのは重々承知だったし、
それにそもそも、こういう作品の舞台化ってのは
かなり難しいことなんじゃないかとの不安もあったのも事実。
でもね、それを前提として観に行った舞台だったけど、
しっかり舞台に引き込まれて、
まんまと感情移入して、気づいたら泣いていたよ。

やってくれるな、キャラメルボックス!と心から思ったもの。

いつものキャラメル色であるファンタジックさを一切排除して、
挑んだかのような舞台。
初日のせいか、セリフ噛みが多かったのはちょっと気になったけど、
構成や役者配置場面転換、ストーリーテリングの方法など、
この原作を舞台化することという点では
これはもう完璧だったんじゃないの?と、さえ思います。
やるな、キャラメルボックス!(あえて2回言うよ。)

今までいくつも小説の舞台化をしてきた劇団だけど、
どんな系統の作品でも、毎回ほんとに上手く仕上げているからすごい。
北村薫さんの【スキップ】の時みたいな、一字一句小説の通りを舞台に起こす場合も、
梶尾真治さんの【クロノスジョウンターの伝説】の時みたいに、サイドストーリーを盛り込んで膨らます場合も、
いろんなパターンで的確に仕上げているところが、流石だと思う。

きっと、成井さんがホントにほれ込んだ小説をいつも選んで
いるからなんだろうなと、
観ている側にも伝わってきます。
「流行っているから舞台化した。」っていう理由では、絶対ないのがわかるもの。
この【容疑者X・・】も然り。
原作を知らない人にも、原作を知ってる人にもおススメです。





今回は、キャラメル恒例のオープニングダンスもないっていうところからして、
「いつものキャラメルと違うな」ってのが察知できました。
そして、場面転換の方法もいつもと違って、なんと回り舞台でした!!
(いつもセットチェンジなしのワンセットで進めていくキャラメルの舞台的にはすごく珍しい。)

もちろん全く同じではないけれど、
原作のイメージ、そして映画のイメージをちゃんとふまえた上で、
作ってあるのが伺えました。
「あるものの焼き直し」でなく、同時に「原型の色を損なわない」って、
小説も映画も観ている人と、まったくの新規で観る人の
両方を意識してあるってことよね。
地味だけどそれってすごいと思う。

ミステリだから、肝心の謎解きやキーポイントを忠実に忠実に、
だけどキャラメルの役者のいいところも出しつつ、硬くなりすぎないように、
ちゃんと計算されていました。

石神の、自分を犠牲にしてまでの無償の愛はまさに献身。
湯川の、自分が唯一認めた好敵手を犯罪者として言及しなければいけない辛さ。
幸せになりたいと願うも、自分の為に手を汚したことの真実を最後に知って心から泣いた靖子。
正直言って、この話は、ガリレオシリーズではあっても、
湯川の科学者としての見せ場は無いんだよね。
でも、その謎の解明にいたるポイントは見どころだし、面白さでもある。
究極のミステリでもあり、究極のラブストーリーでもある今作は、
舞台でも見事な作品であることが(キャラメルによって)証明されました。

石神の慟哭で暗転するラストシーンも、下手に間延びしなくて良かったです。
あの終幕の仕方、
潔いです。



そして、その計算された舞台に、それぞれ的確に配置されていた
キャラメルの役者陣にも拍手。

石神役の西川さんは、持ち味である爽やかさも面白さも排除してひらすら地味に地味に。
石神という人間そのものでした。
ラストシーンの慟哭が今でも胸に響きます。

湯川教授役の岡田さんは、その鋭い目が ちゃんと学者然としてました。
そして眼鏡がステキでした。(←ここだけミーハーな感想でゴメンなさい。)

ヒロインの元旦那・富樫役の石原さん。嫌なヤツっぷりが見事でした。
その分、何役かを掛け持ちしていた別役の時には、軽くて可愛かった。

新米刑事役の筒井さん、熱かったね。老役も好きなんだけど、熱っぷりもいいです。

工藤役の三浦さんは、徹底していい人。「正統派のいい人」が、不器用な石神との
対比を上手く際立たせてた感じです。

ヒロインの娘役に實川さん。少年役もいいけど、こういう少女の役も適役です。

ヒロインの職場の仲間役に大森さん。ストーリ中で唯一明るい現場である職場で、
日常の楽しさを見せてくれてました。

同じく職場の仲間の役の前田さん。他にも何役かやってた中では、
過去作品で観た覚えのある某役(髪型に特徴のある)も出てきてたね。(笑)


そして、今回はゲストが3名。

ヒロインの靖子役に西牟田恵さん。いい人選だったと思う。
美人だけど派手になり過ぎない、それでも日常の明るい魅力あふれる女性として
最適でした。

草薙刑事役に、斉藤歩さん。湯川の友人としての絡みはコミカルに、
しかし、刑事としては眼光鋭く、その存在を誇示してました。

そして、
草薙の上司の刑事役として川原さん。
TVドラマの「相棒」でお馴染みの川原アニキ、
久々にキャラメルで見る川原アニキは、やっぱり渋かったです。



この日のカーテンコールは、トリプルで。
ラストに、西川さんの「僕達はいつでもここにます。」が久々に聴けました。


さて、今日の座席は最前列のセンターブロック。
汗や唾が飛ぶのさえ肉眼で見える距離で見る舞台は、やっぱりいい。
迫力が違う。のめりこみが違う。
他の劇団の公演でも、このくらいでいつも観られたらいいのに・・・と、
常々思う次第です。(無理かー。)


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ねさ

nanayoさんがブログライター来てないのがおかしいっ!!
と改めて思いました。!!

次はかむっ!
by ねさ (2009-04-22 23:43) 

nanayo

>ねさくん
ブログライター、ここのとこずっとタイミングが合わなくて
行けてないのが悔しいです。

しかし、今回の舞台は私、かなり好きでした。
一味違ったキャラメルだけど、すごかったもの。

次回のブログライター企画には参加したいなぁ。。。。
by nanayo (2009-04-23 18:48) 

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