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今日の本:『贖罪』(湊かなえ) [本のこと]

文庫になっていたので、買いました。
【告白】同様に映像化(WOWOWのドラマ)されてたんですね、この作品も。

【贖罪】湊かなえ
贖罪 (双葉文庫)

贖罪 (双葉文庫)

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2012/06/06
  • メディア: 文庫


内容(「BOOK」データベースより)
 15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。
 直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、
 犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、
 なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。
 娘を喪った母親は彼女たちに言った―あなたたちを絶対に許さない。
 必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、
 わたしが納得できる償いをしなさい、と。
 十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!?


面白かったです。
同著者の【告白】が好きな人なら楽しめると思う。
一章ごとが一人ずつの独白(手紙だったり、スピーチだったり・・)に
なっているのですが、そのへんがちょっと【告白】に似てるけれど、
ワンパターンだな・・と思うことは決してなく、最後のエピソードまで読みきれました。

15年前に田舎町で起きた一人の少女の殺人事件をきっかけに、
その時一緒に遊んでいた友達たち4人がたどる運命・・・。
運命と呼んでしまうにはなんともやりきれない悲劇の連鎖なのだけど、
それだけ、その事件の残酷さが、彼女らの心にトラウマを残すには十分だったということ
なのだろうな。

その事件の関係者が、直接彼女らに何かをしたわけではないのに、
その事件の衝撃が、彼女らの心に闇をもたらしてしまう、という恐ろしさ。
闇=悪 というわけではないのだけれど、
結果的にそれぞれがそれぞれの理由で、殺人を犯してしまうことになる・・・なんて。
まさに、呪縛としか考えられないもの。。。

そして、殺された少女の母親の発した言葉も、その気持ちも、わからなくもない。
一緒に遊んでいた少女たち、それもたった10歳の幼い少女たち、
怒りをぶつける行いは正しい事ではないけれど、
わが子を亡くした辛さをぶつける矛先を選ぶ冷静さなんて、きっとその時は
持ち合わせている余裕なんてなかったんだと思う。。。

かつての少女達と、この母親が、決して自分の罪が原因だったわけじゃないのに、
それぞれの「贖罪」を背負うことになってしまった悲しい物語。
だけど、ラストには、これからの未来は少しは良く変わるかもしれない・・・
と感じさせてくれる余韻が、ほんの少し綴ってあったのは、救いでした。



子どもの頃のトラウマって、なかなか消えないものだけど、
それに囚われすぎて、明るくいられるはずの自分の未来まで闇において
しまうことがないように、できたらいいのにね。

 


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