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今日の本:『クローズド・ノート』(雫井脩介) [本のこと]

なかなか良い評判を聴いていて、
ずっと読もうと思いつつも、
いつしか後回しになってしまっていたこの作品。
もっと早くに読めばよかった!! と後悔しました。。。

クローズド・ノート

クローズド・ノート

  • 作者: 雫井 脩介
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/01/31
  • メディア: 単行本

 

  内容(「BOOK」データベースより)
  私の部屋に置き忘れられた一冊のノート。はじめは手に取るつもりもなかったのに。
  そのノートを開きはじめたとき、私の平凡な日常は大きく変わりはじめる―。
  『火の粉』『犯人に告ぐ』の俊英が贈る、2006年最初にして最高の物語。
  携帯サイトでの連載時から感動の声が続々。100万アクセスを突破した、切なく暖かい恋愛小説。

雫井さんの作品を読むのは初めてでした。
それも、代表作(?)の『犯人に告ぐ』でも『火の粉』ではなく、
恋愛小説であるこの作品が私の読んだ第一号。
正直、これ大ヒット!!面白かったです。
これで雫井さんの印象が、素敵な恋愛小説家・・・としてインプットされてしまったくらい。

まず、主人公 香恵と、ノートの中のもう一人の主人公 伊吹が、
とても魅力的に描かれているところがいいです。
優しくて前向きな、そしてほのぼのしているのに強い。
ノートの中で伊吹の世界が展開していき、
それを読む香恵が彼女に共鳴していくところは
ともても自然だし、気持ちが良く分かって
自分までぐいぐきと物語に引き込まれていきました。

香恵と伊吹のリンクや 後の展開は、
読んでいる最初の方でわかってしまうのですが、
「ああ、きっとこういう風につながっていくなぁ・・・・」って思って読んでも、
面白さは増していくんですよね、不思議と。

まっすぐで、あったかくて、優しい気持ちになれる物語。それしか言いようがないです。

それから、ポイントが高かったのが、
色んな蘊蓄がもりだくさんで、楽しかったこと。

表紙のイメージともつながりますが、
主人公香恵がバイトしているのが文具店ということで、
万年筆についての色々書かれています。
(私はここが一番面白かったです。)
物語の中に出てくる「アイテム」って、
結構興味をそそられちゃう要素の一つだと思います。
試し書きの蘊蓄とか、
万年筆の接客の仕方、
万年筆のブランド etc.
読んだ後、万年筆売り場に足を運びたくなってしまいました。

そして、小学校教師の伊吹の
不登校の生徒への接し方や保護者とのやり取り、
あとがきを読んで、余計に 「ああ、そういうことだったんだな。。。」と
しみじみしてしまった気持ちも含めて、
心がホントにあったかくなった。



最後の10ページでは、
涙をこらえるのに必死でした。(電車の中で読んでたので、余計に・・・。)
ラストの締め方は、
最初はちょっと軽く終わらされた気がしたのですが、
後になって、アレでよかったかもな・・・と思い直しました。
盛り上げて盛り上げて、
怒涛のごとくで感動的に締められても、
逆に嘘っぽくなってしまったかもしれない。
だから、
ラストは賛否両論あるかもしれないけど、
ああいうのもアリかなとも。。。

友達、その恋人、片思い・・・etc.
主人公の色んな破片を読み集める作品だけど、
一番最後のあの手紙、あれを香恵が読む・・・という所に
この物語の全てが向かって動いていたんだと思います。
だから、香恵のこれからや友達や大学生活や恋の行方、云々は、
また別の話 ってことなんだろうな・・・って。

 

 

これは、お勧めです。


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コメント 16

少し前に読んだ作品だったので自分でも思い出す意味で
TBさせて頂きました。
サスペンスがお好きなら『犯人に告ぐ』もよかったですよ。
by (2006-07-24 22:39) 

こんばんは(^^)
本屋でよく見かけてて気になってました。
装丁からしても惹かれるものがあって…。
nanayoさんの記事で読むことを決心しました!図書館で予約してきます♪
電車とかカフェで読まないことを心に留めておきますね(^^;)
by (2006-07-24 23:00) 

tap

私も読んでみたいなぁ。
雫井さんの作品は「栄光一途」「火の粉」あたりを読みましたが、どちらも面白かったですよ〜。
安心して読める筆致の方です。
恋愛物なんだ〜。何か意外だ〜。
また新しい発見がありそうな予感♪
by tap (2006-07-25 01:16) 

こんにちわ。
淡い恋愛小説(特に男性作家)に興味津々な私としては
かなりのツボでしたね♪
主人公よりも読み手にそれとなく先に気付かせて
主人公と伊吹先生、そして”彼”がどのように展開していくのか
ドキドキさせながら読ませるテクニックは凄いなぁ~と思いました。
本線のサスペンス(ミステリ)以外に、またこっちの路線も
書いてみて欲しいと思いました♪
by (2006-07-25 07:49) 

nanayo

>twilightkumaさん
TBありがとうございます。
次は「犯人に告ぐ」を読もうと思って、
図書館で借りてきました♪おすすめありがとうございます。
by nanayo (2006-07-25 21:45) 

nanayo

>madoccoさん
私も表紙とかにも惹かれてたんですよね。
どこに、面白さのポイントを置くかはひとそれぞれだと思うんですが、
素直に楽しめると思います☆
読んでみてください。
by nanayo (2006-07-25 22:04) 

nanayo

>tapさん
確かに、雫井さんの文章、これは読みやすかったです♪
でもこれまでは恋愛小説って感じではやってなかったんですよね。
「火の粉」とか・・・作品名は知っているんですが、
これ読んじゃうと、そっちとなかなか結びつかなくて。
でも、もっと読みたくなる作家さんです。順に読もっと♪
by nanayo (2006-07-25 22:10) 

nanayo

>norizo!さん
そう!あえて、読者に分からせておいて読ませるってところが
面白いですよね。
ミステリが上手い人の恋愛小説って、私好きなんですよ。
貫井徳郎さんの「さよならの代わりに」とか、
東野圭吾さんの「パラレルワールドラブストーリー」とか・・・
はまりました。
by nanayo (2006-07-25 22:16) 

チトセ

コメントありがとうございます。
GOTHはリアルに怖いですよね~。

なんだか気になる本ですねぇ~。
本屋さんでさがしてみま~す(* ^ー゚)ノ
by チトセ (2006-07-26 00:02) 

nanayo

>チトセさん
こんにちは。こちらこそコメントありがとうございます。
レビュー読んで気になってくれるとなんだか私も嬉しいです。
機会があれば是非読んでみてください♪
by nanayo (2006-07-26 19:52) 

長谷川舞

気持ちがあったかくなる、いい作品でしたよね。
雫井さんの作品は他も何作か読みましたが
私は「クローズドノート」のような作品をもっと
書いて欲しいなと思いました。
万年筆の専門知識も知らなかっただけに
面白くて、いつか自分用に1本、万年筆を
選んでみたいなとも思ったり。
TBさせて下さいね。
by 長谷川舞 (2006-07-28 09:55) 

nanayo

>長谷川舞さん
 >いつか自分用に1本、万年筆を選んでみたいなとも思ったり。
私もそんな気にさせられちゃいました。
香恵が持っているドルチェピータ・・・どんなのか調べて見たら
かわいいんですよねぇ、これが。
by nanayo (2006-07-28 16:24) 

こばけん

TBありがとうございます^^

今井文具店のシーン、心惹かれますよね(笑)
私も既にあのあたりで「こりゃぁ、たまらん!」とのめり込んでしまいました。
ちなみに私に愛用はウォーターマンのエキスパート。
実はこの小説を読む前から、
可奈子さんの「アウロラ」は狙っていたんですよねぇ。

と、ここまでのめりこみつつ、雫井さんはミステリの人だと思います。
『犯人に告ぐ』は、おもしろいですよ!
by こばけん (2006-08-18 02:43) 

紫

18歳の時、私も伊吹先生と同じ恋愛経験をしました。
読んでいるうちに、自分の恋愛と重ね合わせ、あの時に感じた想いが伝わらないもどかしさや切なさがついこの間の事のように思い出され、胸が痛くなるのを感じました。
職場の人に「恋がしたくなる本」と言われ読んだのがきっかけでしたが、読み終わった後は、自分でも驚くほどの満足感でした。
夢や恋に熱い情熱を注ぐ人の姿は素敵なだなぁと改めて思い、長い間、忘れていた感情を思い出させてくれたこの作品に出会えたことを心から感謝しています。
by 紫 (2006-11-08 22:26) 

27歳ゆかり

18歳の時、私も伊吹先生と同じ経験をしました。
読んでいるうちに、自分の恋愛と重ね合わせ、あの時に感じた想いが伝わらないもどかしさや切なさを思い出しました。
職場の人に「恋がしたくなる本」と言われ読み出したのがきっかけでしたが、読み終わった後は、自分でも驚くほどの満足感と充実感でいっぱいでした。
夢や恋に情熱を注ぐ人の姿は素敵だなぁと改めて感じ、忘れていた感情を思い出させてくれたこの作品に出会えたことを感謝しています。
by 27歳ゆかり (2006-11-08 22:35) 

nanayo

>紫さん 27歳ゆかりさん
この本を読んで良かったと思える一冊に出会えるとほんとに
幸せな気分になりますよね。
自分自身の思い出や気持ちと重ねながら読むと、また色んなことを
考えてしまいます。
ああ、「恋がしたくなる本」・・・か。そのとおりですよねこれ。
by nanayo (2006-11-10 14:45) 

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