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今日の本:『Gボーイズ冬戦争』(石田衣良) [本のこと]

池袋ウエストゲートパーク・シリーズ第7弾、
読み終わりました。
Gボーイズ冬戦争―池袋ウエストゲートパーク7

Gボーイズ冬戦争―池袋ウエストゲートパーク7

  • 作者: 石田 衣良
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 単行本


このところの数作は、
センスは相変わらずいいんだけど、正直ちょっと物足りないかも・・・と思っていましたが、
今回の新作は、久々に好きなノリでした。
やっぱりこのマコトシリーズの時の文章が一番好きです、石田さん。

振り込め詐欺グループ、高額絵画商法、少年による自宅放火・・・など、
毎回、「今」の時代に即した事件を題材にしていて、
それにマコトが関わっていきながら知り合う人物のそれぞれが面白いです。
マコトの言葉でいうところの「社会の底辺の人々」、
その個性だとか、生き方とかが興味深い。

【要町テレフォンマン】
対人するのは苦手でも、電話で話すことなら自由自在な人格をつくれる・・・なんて、
まさに現代社会の申し子って感じですよね。
ただ、シリーズ7作目ともなると、
Gボーイズのキング崇や、ヤクザの若頭サルの登場があまりにも
多用されてる気がするのは否めない。
あ、また崇とサルの力で解決しちゃうんだ・・・みたいなところがちょっとね。。。

【詐欺師のヴィーナス】
絵画商法のセールスレディに恋しちゃった男性からの依頼で、
マコトがわざとギャラリーにひっかかりに行って交わすやり取りが
おもしろいです。
でも、デート商法に騙されているとわかっていても担当の女の子を許してしまう男性。。。
簡単に悪がはびこっている社会でも、純な(人が良い)人もいるもんなんだなぁと、
人の思いの多様さを感じたりもしました。

【バーン・ダウン・ザ・ハウス】
少年による自宅放火。。。これ、今実際にニュースでよく聞く事件パターンですよね。
「憎しみよって生まれた火を消すのは、消防車の放水なんかじゃない。
そいつを消せるのは、心からの謝罪と受容の涙だけである。」って、本文のことばに
重みがありました。

【Gボーイズ冬戦争】
ナンバー2ヒロトの反旗で揺れるGボーイズ。
作品が進むにつれて、二人の行動が、大人になってしまったせいか、
がむしゃらさに欠けて寂しかったのですが、
ここにきて、クールなキング崇がマコトに握手を求めるシーンがあり、
とても良かったです。
結局は、昔からの友達。。。そんなことが思い出せました。

今回、久々に過去の事件の関係者が話に登場するのですが、
すっかり、どんな話だったか忘れてしまっていたので、
この本を読んだ後、過去作品を読み返しました。
【水の中の目】(「少年計数機」収録)。。。。
これ読んで、ちょっとショックだったのは、
「うわぁ、やっぱりこの時の話のほうが、凄く面白い。」って事。
初期の頃の方が勢いもあるし、人物描写も、事件の奥行きも、
とにかく話の厚みがすごい。
石田さんファンだし、マコトシリーズも大好きなので、
新作にも、是非それを期待したいです。


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コメント 8

石田さんの本はちょっとさらったくらいに読んだことがあるのですが、
入り口に適した本とかありますか??
by (2007-06-02 15:50) 

おかあ

はじめまして。
IWGP大好きです。
私も、今回最新作を読んで、同感です。
だんだんと、何かがおちてきている気がします。
ところで、マコトは一度、人を殺しているってことになるのでしょうか?(水の中の目)

私も本のこと書いてます。
よろしく。
by おかあ (2007-06-02 23:05) 

nanayo

>まどかさん
私が初めて読んだのは、「エンジェル」でした♪
でも、いちばん石田さんらしいのはやっぱり
デビュー作の「池袋ウエストゲートパーク」かな。
続編の「少年計数機」も好きです。
by nanayo (2007-06-03 13:18) 

nanayo

>おかあ さん
こんにちは、コメントありがとうございます。
 >ところで、マコトは一度、人を殺しているってことになるのでしょうか?(水の中の目)
アツシの件・・・、ですね。
「助けなかった」ってことが、全てなんだと思います。

初期の頃の方が勢いがあるけれど、やっぱり私はこのシリーズが好き。
新作をまた楽しみにしたいと思います。
by nanayo (2007-06-03 13:30) 

Skeltia_vergber

こちらの欄ではお久しぶりです。スケルティアです。
ワタシもだいぶ前ですが、同書読んで、nanayoさんと同じ感想を抱きました。
基本的には作品全体が弱くなっているのかなぁと。
ただこのシリーズは読んでいていろいろ考えさせられる点があるのも事実ですし。
ワタシのエントリーは以前mixiで書いた振り込め詐欺の話やら、part8の第一作『千川フォールアウト・マザー』まで言及しちゃっています。あっちこっち話飛びすぎ(^◇^;)
by Skeltia_vergber (2007-06-03 14:48) 

nanayo

>スケルティアさん
本になる前に読まれたんですね♪
このシリーズでは、マコトたちの活躍の小気味よさもさることながら、
現代日本で問題になっているニュースや事件が扱われることがよくあるので、
連載時にそれを読む方が、リアルタイムな読み方が出来るんだろうなぁ。

ただし、今の事件の扱っていても、それがただ単にその時の話題性だけに
留まらないような、
スケルティアさんの言うとおり、「色々考えさせられる」所、たくさんありますよね。
数年後に読み返しても、きっと事件自体はそのときのものじゃなくても、
人間の心模様とか、いつだって(いつまでも)考えておかなきゃいけないものが
読める小説だと思います。
by nanayo (2007-06-04 21:11) 

かのま

あの・・・痛いですよね、この方の作品って。

興味は、すごくあるんだけど、やっぱり痛さが(;_:)
by かのま (2007-06-12 23:17) 

nanayo

>かのまさん
あー、そうですね。
IWGPシリーズはバイオレンステイスト多めですから
かのまさんむきじゃないかも。。。
ちょっと色っぽ目のが大丈夫なら、『娼年』が面白いんですけど・・・。
あ、あとエッセイ『空は、今日も、青いか』は、手放しでおススメです。
(小説じゃないけど^^;)
by nanayo (2007-06-12 23:55) 

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