今日の本:『クワイエットルームにようこそ』(松尾スズキ) [本のこと]
松尾スズキさん。
いわずと知れた『大人計画』の主宰者。
松尾さん脚本の、大人計画の芝居はいくつか観たことがあるけれど、
小説はどんなのを書くんだろ?
ふと興味がわいて、読んでみました。
<あらすじ>
恋人と大喧嘩の果て、薬の過剰摂取で精神病院の閉鎖病棟に
担ぎ込まれた明日香。そこで拒食・過食・虚言・自傷など、
事情を抱えた患者やナースと出会う。
普通と特別、正常と異常・・・境界線をさまよう明日香がたどり着いた場所は?
130ページくらいの話なので、さくっと読めます。
でも、さくっと読んでハイ終わり。にはしたくない・・・というかしていいのか?
と、思う感じの話でした。
いや、それとも「ハイ終わり」にしとけばいのかも、という気もしなくも無い・・・。
↑どっちだよ!?と、言われそうですが、
読む人、読む環境、読む状態によって、
受け止め方がころころ変わっちゃう作品だろうなと、感じたってコトです。
文章は、正直、私にとっては読みやすいものではありませんでした。
それが意図しての書き方なのかもしれないけど、
どうも若い子がブログで日記でもかいてるような雰囲気の文体のように思えちゃって。
(やっぱ、意図してなのかしら?)
女の子の主人公で一人称書きっていうせいもあるだろうけど、
それが最初は、ちょっとついていくのに抵抗があったのが本音だったんです。
でも、でもね。読んでるうちに、自然と引き込まれていきました。
主人公が、自分の意思に反して、精神病棟に入れられてしまって、
そこで色んな症状の患者に出会って・・・っていう設定が、
なかなか興味深かったりもするのですが、
周りの患者たちのことは、その症状意外については、
そこまで深い心理描写まではされないんですよね、実際。
過去を描くことで、「色んな人生の人がいて、悩みがあるんだぞ」という
教訓めいたことは、特にしなくてもいいやみたいなスタンス。(に思えた。)
それよりも何よりも、
これは「主人公自身の再生の物語」があくまで中心なんだよね、きっと。
明日香が、退院のときにもらった皆からの寄せ書きを
病院の玄関を出る前に「ごめんなさい」と言ってこっそり捨ててしまうところ、
栗田さんのE-mailアドレスを、捨てるところ、
鉄ちゃんとわかれるところ、
ラストが潔くて好きです。
誰だって狂気にからめとられることはある。存在しないひとと話をしている人なんて、
東京にはいくらでもウロウロしている -中略-
たまたま運悪く、高価な壺を割って多額の借金をしてしまう人がいるように、
ミキも私もたまたま正気を踏み外した場所に精神病院があっただけ・・・。<本文より>
うん。この箇所を読んで、「ああ、そうかもね」と一番思えました。
そして、そんな風に自分も世間も見つめらてる主人公が
ちょっと凄いなと思ったりして。
さて、この作品、秋に映画公開です。
脚本・監督も松尾さん。
内田有紀さん、クドカンさん、蒼井優さん、妻夫木聡さん、大竹しのぶさん
などが出演。
オープニングの、ゲ●でうがいのシーンは、映像化されるのか?
それも内田有紀さんで?
観にいってみよう。
きゃは。
僕もこのお話。ラストが潔くて好きです。
とんでもない始まり方なのに
ラストがとてつもなく清々しくて
なんなんだ?この落差は。なんて思ったりしちゃいました^○^
映画。
ほんと、あのオープニングは映像化されるんでしょうかねぇ??笑
ちょっと楽しみなんで、きっと僕も観に行きますvv。
いつも文章、上手ですよねぇ~。
文章、上手な方にはすごい憧れるので、いつも遊びに来てしまいます。
このブログ。ほんと素敵ですよね♪
ある意味、とっても、羨ましいです。
また、遊びにこよーっと。これからも楽しみにしていまーすv^○^v
by blue1blue3 (2007-08-29 00:49)
>blue1 blue3さん
「松尾さんの脚本=長い」って公式(私の勝手な思い込みだけど)
がインプットされていたので、
これを読んだときは、
短い中に色々入ってる話もあるんじゃん!って意外性が
オモシロかったです。
映画がなかなかの豪華キャストなので、
これがどう映像化されるのか気になりますよね♪
ご来訪ありがとうございますー。そちらにもまた行かせてもらいます♪
by nanayo (2007-08-29 20:32)