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今日の本:『ミハスの落日』(貫井徳郎) [本のこと]

初めて【慟哭】読んだ頃、一気に貫井作品にハマって読みまくっていたのに、
そういや最近読んでいなかった・・・。
久々に読んだ貫井作品はこれ。
ミハスの落日

ミハスの落日

  • 作者: 貫井 徳郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/02/21
  • メディア: 単行本


今年2月に出ていたのに見逃していた短編集です。
5つの短いミステリは、それぞれ舞台が外国のとある町。
それぞれの町の名が入っているタイトルは、それぞれが趣きがあって
旅情と叙情を感じさせます。
短編なのでそこまで重くはならないけれど、軽い感じのテイストでは決してないものばかり。
ミステリ要素は弱めだし、インパクトにはちょい欠けるかナァ・・・とも思ったけれど、
なんだろね、やっぱ文章が好きなのかな。読んでて落ち着つくんだよな。

ミハスの落日
 これが一番旅行記要素たっぷりでしたね。観光スポットの説明が丁寧。
 スペインのバルセロナはは行ったことがある町だったので、ちょっと町並みを思い出しつつ読みました。
 「神」の存在に対しての考察というところが興味深い。。。
 (あとがきで「神の二つの貌」の序章・・・と書かれていますね。あの作品も、好きです。)

ストックホルムの埋み火 
 一方的なストーカー的な男性の怖さをマジマジと読ませるのが上手いです。
 本気で気味悪くなってしまうような思い込みの激しさが、ほんと怖い。
 ラストの一ひねりは、すごく貫井さんっぽい。

サンフランシスコの深い闇
 作者もあとがきで語っていますが、確かにこれはサンフランシスコが舞台じゃなくてもいいよね。
 でも、なんか覚えがあるなぁ・・・と思って読んでいたら、
 ああ、あの「二十四羽の目撃者」のシリーズだったんだこれ!と知って納得。

ジャカルタの黎明 
 これは、一番考えさせられるテーマだったなぁ。
 国の価値観、生活、風土、そして売春の現状。。。
 ラストの日本人男性トシの「血の匂い」はなんだったのか?
 そこまでは触れない終わり方に味があります。

カイロの残照
 「夕方の長さ」の効果が印象的。
 ミステリではないかもしれないけど、
 誰かが犯した罪の影響と重さ、そしてその見返りの酷さがよくわかるストーリーでした。


貫井さんの長編を読むには、けっこう気合がいるので、
まずは肩慣らしにこの辺から読んでみましたが、
やっぱ長編読みたいよな。。。。


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コメント 2

blue1blue3

お久しぶりですvv。
そういえば、僕も【慟哭】を読んでちょっと衝撃を受けていた貫井作品。

この作品もおもしろそうですねぇ~。

また機会があったら読んでみまーす。

なんか、やっぱり文章、お上手ですよねぇ~。
すごい。レビューを読んで、この本、読んでみたーいって思わせるから
いっつも感心してしまいます。

あぁ、いつか読もぅ。この作品。
また、記事 楽しみにしていまーすvv。
by blue1blue3 (2007-11-29 23:39) 

nanayo

>blue1blue3さん
こんにちは。やっぱ貫井さんのデビュー作【慟哭】は、衝撃でしたよね。
この「ミハス・・・」は、それほどガツンくるものではないけど、
貫井さんの他の濃い作品を色々読んだ後の息抜きな感じでいいかも。

ちなみに、貫井作品で私が大好きなのは【さよならの代わりに】です♪
未読ならおススメです☆
by nanayo (2007-11-30 17:05) 

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