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舞台:『IZO』(劇団☆新感線) [お芝居・舞台のこと]

今年一発目の観劇はこれ。
劇団☆新感線【IZO】。

08.2.17(日)12:30~@シアターBRAVA!

 

 [劇作・脚本]青木豪 
 [演出]いのうえひでのり 
 [出演]森田剛 / 戸田恵梨香 / 田辺誠一 / 千葉哲也(俳優) / 粟根まこと /
  池田鉄洋 / 山内圭哉 / 逆木圭一郎 / 右近健一 / 河野まさと / インディ高橋 /
  礒野慎吾 / 吉田メタル / 中谷さとみ / 保坂エマ / 村木仁 / 川原正嗣 / 前田悟 /
  木場勝己 / 西岡徳馬 他

主役の“人斬り以蔵”役に森田剛くんを据えて、
僧正(山内圭哉さん)、イケテツ(池田鉄洋さん)はじめ、
個性的なメンツと、
ガマザリで好演してた木場(勝己)さん、西岡徳馬さんなどの
シブどころのゲスト、
という、なかな興味をそそるキャスティング。
【髑髏城の七人】をゲキシネでみて以来、新感線のいのうえ歌舞伎にはまり、
【吉原御免状】、【朧の森に棲む鬼】を生で観て、
そのスゴさに虜になっていたので、
今回もかなりの期待を持って観に行きました。

んーーーーーーーーーーーーー。
いのうえ歌舞伎にしては、地味。新感線にしては、弾けてない。
物足りないよう。
・・・そう思ったのは私だけでしょうか?

※最初に書いておくけれど、
 マイナスな感想は、ひとえに新感線の舞台を観る上で、
 満足するハードルがかなり高くなっていることだけはご了解ください。

いや、別に悪くはなかったんだけど、
こう、いつも見終わった後に、ズシンと体感するあの衝撃が
今回そんなになかったのが 正直なところ。。。。
今まで観た過去作品のイメージで、
あまりにも期待値を上げすぎてしまっていた私が悪いのか、どうなのか。
「もっとできるはずだろ!?」と、つい思ってしまったんですよね。。。

まず、第一に、セットがちゃちな気がする。
次に、ストーリーの起伏が少ない。
そして、キャラクター設定がイマイチ薄い。
特に気になったのがその3つ。
※ただしこれは、全て今までの新感線の舞台をふまえてのことなので、
それを考えずに観るなら十分な時代劇なのだとは思うよ。
でも、新感線だもの。
舞台上のセットでホンモノの滝や大河を作り出しちゃう舞台を過去にやってきた彼らが、
スクリーン二枚での場面転換はないだろうよ?
と、どうしても思っちゃうのは自然な感想じゃないかい?

で、肝心要のストーリーとキャラクター。
これもやっぱり地味。
「天に飼われた犬」として生きた以蔵の哀れさや惨めさが、
もっとスペクタクルな表現でも良かったと思うの。
“無邪気なところ、無知なところ、おろかなところ、恋に奥手なところ、
しかし剣の腕は強いところ”・・・というキャッチーな要素をせっかく持っているのに、

全部が薄味。
どれか一つに中心をおいてもっと極めて描いて欲しかったと思う。
観ていて、この主人公を応援したいのか、憎みたいのかがよくわからなくて、
結局は最後に「あわれだな」としか感じられなかったんです。
(それが狙いなのなら、それでもいいんだけど、ただ、胸にずっしりとは残らないから・・・。)

それは、主人公以外のキャラクターにも言える事であって、
ガツン!!とサビの効いた役っつうのがちょっと少なくて残念。
全ての人々が、どうも人格設定がウロウロしてる感じがしました。
田辺誠一さんの武市先生しかり、戸田恵理香さんのオミツしかり・・・。
はっ!しかし、
最後の方に以蔵が、「天は動くもの・・・云々」と語るところがあるように、
この作品の彼らは皆、そういう面々として描かれていたということなんだろうか?
攘夷だ政革だ、反対だ賛成だと、信念の河岸を変える様は
全て「天は動くもの」の言葉に集約されるテーマの一つなんだろうか?
そうなってくると、私にはちょっと揺らめきすぎて捕らえられない話だわ。
複雑でもいいから、きっぱりしている話が好きだから。。。



そんな感じで、どうも私にはコレ!といって感情移入できる人物が居ないままでしたが、
お目当ての役者さんたちはしっかり観てきました。

新感線での僧正(山内さん)を観るのは初めてだったけど、
いやぁーーー。本人の告知の通り、面白いコト一切言ってませんでしたね。
笑いを取りにいかない僧正・・・・、それがまた新鮮。
(笑)カツラも最後のカーテンコールでも取らなかったし。
以蔵と対極に居る役どころである剣客・田中新兵衛
どっちかと言うと、好青年キャラに近いイメージ(好青年の役ではないけど)ってのと
薩摩なまりがなんだか可愛く見えました。

それと、今回のナイスキャラNo.1はこの人だろう。
というのは、絶対イケテツ(池田鉄洋さん)!!
ネタモノじゃない新感線で、イケテツがでてるところからしてナイスでしょう?
で、それも坂本竜馬よ?どう?これ。
一般的な、竜馬のイメージをちょっとくずしたオモシロキャラ
オープニングから、遊郭でダンスだもんね。)にしてあっても、
全然嫌な感じもせず、むしろこの舞台で唯一の癒やしな感じすら与えてくれた。




なんだか、マイナスな感想をたくさん書いてしまったかもしれませんが、
最初にも書いたとおり、
それもこれも、「いのうえ歌舞伎」の評価ハードルは、めちゃ高に設定されているから
に他成りません。
あーー。そういえば、今回は粟根(まこと)さんも出番が少なかったし、
新感線の濃い面々が見事に欠席しているせいもあるのかもしれないね。
新感線色が弱いんだ。
今後も爆裂な衝撃を与えてくれる舞台を期待しています。


最後に・・・、
ラストシーンは、セットも演出もシンプルだったけどなかなか良かったです。

「オレは上のほうを見すぎてしまった。
天ばかり見ずに、山を見ていれば良かった。
天は動くけれど、山は動かず、光が満ちる花をずっと見せてくれていたのに。。。」
(土佐弁では書けないけど、こんな感じの内容。)

・・・って、台詞を以蔵が語り、
黄色い満作の花びらが舞い散るステージ・・・・。
これは、なかなかジンときて、素敵でした。

以蔵を演じた森田くん
いのうえ歌舞伎という大舞台で、ベテランの個性派役者の囲まれて、
ほとんど終始出ずっぱりで、剣殺陣と土佐弁をやりこなす、
というだけで それはもう凄いこと。
地味さのなかでの その主役っていうのはかなり難しいにちがいないだろうし。
是非、今度はもっとドカンと派手な演出の舞台での彼も観てみたいです。


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栗かの子

同じく同じく…。
私もIZOにはメチャメチャ辛口評価でした。
新感線に対してハードル上げすぎましたねぇ。
朧のインパクトがあまりにあまりにでしたから。

粟根さん見たさに月末リリパさん見に行っちゃいます。
by 栗かの子 (2008-03-07 23:32) 

nanayo

>栗かの子さん
ねぇ。
どうしても辛口になってしまうのは、それだけハードル設定を高くさせる
過去作品のすごさゆえ。。。
でも、次回作もまだまだ期待しちゃいます♪
五右衛門ロック、興む要素多すぎ!!

リリパ、そういや粟根さん出るんだ!!
またレポ楽しみにしてまーす。
by nanayo (2008-03-09 12:16) 

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