映画：『フィッシュストーリー』

伊坂作品の映画化が続いています。
正直、小説の雰囲気と全く別物になっちゃってて、
「・・・」と思ったものも　今までにいくつかあるけれど、
原作ファンからの評判も良かった（もちろん私も大好きだ）
【アヒルと鴨のコインロッカー】の監督さん：中村義洋さんが作ったっていうから、
きっと大丈夫♪と信じて見に行ってきた。

で、期待通りでした。
面白かった。

丁度、大阪での舞台挨拶もある回に行けたので、
上映前に、中村監督と出演者の伊藤淳史さんの、２０分ほどのトークも
観て来られたのもラッキーです☆

【フィッシュストーリー】


原作：伊坂幸太郎
監督：中村義洋
出演：伊藤淳史、高良健吾、多部未華子、濱田岳、森山未來、大森南朋　他

 

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原作自体が短編なのだけれど、
いくつもの時代とシチュエーションが、それぞれにつながっている
伊坂さんらしいお話。

その短編を、１時間５２分の映画にするにあたって、
いろんな設定やエピソードが、
小説とは違えてあったり、大きく膨らませてあったりしたけれど、
さすが中村監督、伊坂ワールド（ファンが好きな伊坂テイストの空気感）を
よーくわかってくれていて、
それを壊さないように作り上げてくれてました。

あの台詞も入れて欲しかったなぁ・・というのもいくつかあったけど、
「ジャッククリスピン」の名が大森さんの口から出たときには、
嬉しかったよ。

でね、エピソードが小説と違っていても、
あの伊坂ワールド独特の、ゆるい雰囲気がちゃんとスクリーンに反映されてるんだ。
そこが、安心して観られる所以かもしれない。

その、膨らませてあるエピソードっていうのも、
なかなかスケール大きくて、面白かったです。
ちょっと、別作品【終末のフール】を彷彿とさせるような、ね。（笑）


物語の中では、
【１９７５年】・・・パンクバンド“逆鱗”が「フィッシュストーリー」を生み出した時代。
【１９８２年】・・・雅史の学生時代。
【２００９年】・・・麻美がシージャックに遭遇する時代。
【２０１２年】・・・彗星衝突の危機を迎えた時代。
の４つの大きなストーリーが交互にそれぞれ展開します。

で、それが『逆鱗』という名のパンクバンドのある曲を軸にして、
それぞれつながっている。。。のね。

「無名の一つの楽曲が、めぐりめぐっていつか世界を変える。」

という、おとぎ話みないなお話しだけど、
「ほんの些細な出来事が、いつか何かを変えるかもしれない。」
「いつかどこかで誰かとつながっていくのかもしれない。」
という、大きなテーマを伝えてくれていました。

一つひとつは緩～い雰囲気なのに、実はすっごく壮大なお話なんだよな。
・・・ってことに、最後に気づいて面白いの。
原作を知らない人でも十分楽しめると思う。

実際、舞台挨拶の時に、
MCの人が、「小説をお読みになった人？」と、客席に振ったときには、
私含め、５～６人くらいしか手を上げてなかったよ。
（てっきり小説ファンの人が多いのかと思ってたので、ちょっと意外でした。）



で、出演者も、結構ツボな役者さんが沢山出ていて楽しかった♪
舞台挨拶を行った伊藤淳史さんは、今までのイメージと違う
パンクバンドのリーダーが、しっかり嵌ってたし、
大森南朋さんも、いい役やってた♪（久々に大森さんが出てるのを観たよ。）
「アヒルと鴨・・」に引き続いて伊坂作品に出演の濱田岳さんも、ああいう気弱な役が似合うね。
同じく「アヒルと鴨・・」で、重要な役（ドルジ（？））をやってた田村圭生さんも出てたよ。

で、一番釘付けだったのが、森山未來君！！
原作では、マッチョな人なのだけど、未來君があの役をやっても、ぴったり！！だと思った。
白衣も似合うし、アクションシーンがとにかくカッコよすぎです。
一瞬、バレエのジュテか？と思うようなステップの軽やかさを見せる戦闘シーンは
一番の見どころだったんじゃないかと思うくらいでした。（私だけか？）



そういえば、舞台挨拶で伊藤さんが言っていましたが、
パンクバンド「逆鱗」の演奏シーンは、最初は、格好だけで歌や楽器音を吹替えする
つもりだったものを、
バンド（役）の４人でみっちり練習していくうちに、
吹き替えなしでできるまでに至ったんだそうな。
「撮影後に、個人的にベースまで買ってしまった。」と言っていましたが、
ほんと、しっかりパンクバンドしてて、
あれ吹替えなしでやったんだ・・というのが、ほんとすごいと思いました。そこも必見。



伊坂作品の映画化は、もう、全部中村監督がやればいいよ。。と個人的には思ってしまう。
それくらい、小説ファンにも受け入れられる映画だと思います。
そして、もちろん、小説を知らない人にも、おススメ。

コメント 2

こんにちは！
うらやましいです、わたしの地元では上映されないみたいなんですよ…涙
最近伊坂作品の映像化が続いてますね。
重力ピエロは予告でちょっと見たんですけど、
すごく楽しみです（´ー｀）

by madocco (2009-03-22 13:38) 

＞madoccoさん
ミニシアター系は、上演館数が少ないのが難点ですよね。
DVD化した際には、ぜひ見てみてくださいね！

「重力ピエロ」も、好きな作品なので、さあ、映画化してどうなるか。。。
不安と期待が入り混じりますが、
公開されたらきっと見に行っちゃうんだろうなぁ。
by nanayo (2009-03-22 23:42)