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今日の本:『告白』(湊かなえ) [本のこと]

「読中感も読後感もサイアクなのに、ページをめくる手をとめられない」
・・・という、書評にあった一文に、強く頷けました。

湊かなえさんの作品は初めてでしたが、
読むならまずこれでしょ と思う一冊
、【告白】を読んでみた。

告白

告白

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2008/08/05
  • メディア: 単行本

作品タイトルどおり、
それぞれの章が、一人称による誰かの「告白」語り形式です。
「中学校のプールで女教師の幼い娘が溺死した」 という事件。
それに関連した者達の告白。

モノローグで読ませる、という地味な形にもかかわらず、
ミステリであり、ホラーであり、サスペンスな、かなりドキドキする展開。
こういうのを読んで 「面白かった」と言うと、罪悪感を覚えてしまうくらい
なんとなく倫理観を問われてしまいそうな内容ですが、
あくまで「小説」、あくまで「フィクション」として、
どう楽しめるかがポイントだと思うの。



全部で6つある章のうち、
「娘は、このクラスの生徒に殺されたのです」という、
本の帯にもクローズアップされている一文が印象的な
第一章:聖職者が、やはり一番ショッキングでショーゲキ的でしたが、
それに続く章も、立場が違った者たちのそれぞれの目線、それぞれの言い分、
それぞれの思い、それの真実が、語られていて
さらにそれが、互いに いびつな形でつながっていたりして、
なかなか飽きさせませんでした。



中学校の終業式の日に、教室の壇上で女教師から語られた話。

それが、“自分の娘がこのクラスの生徒に殺された”という
内容に展開していくところが、もういきなり過激です。
「犯人A」と「犯人B」というふうに名を伏せて話しているものの、
明らかに皆に誰のことだかわかるように話すところも、
最後の最後に彼女のとった 犯人2人への復讐の方法も、
めちゃめちゃ 怖い。
「裁きを法の手に委ねても、少年法で守られている少年たちへの
復讐にはならない」と、きっぱりと言い切って取った手段には、
「聖職者」という章のタイトルが、皮肉そのものだなぁ と思わされました。
嫌な気分なのに、面白い。。。(って矛盾してるけど。そうだったの。)



・・・で、この一章だけでも
短編作品として成立していて、十分 面白いのですが、
その裁きが下った後、犯人を含めたこのクラスは一体どうなってしまったのか・・・
っていうところも、追随する章でわかっていきます。
その都度モノローグの人物を変えて・・・。

細かい仕掛けやどんでん返しが施されているのも、
面白かったです。
てっきり、犯人の思いはこうだ・・・と思って読んでいたら、
意外な方向に動いていたり だとか、
いちいちイライラする登場人物がいたり だとか。


この多数の人物のモノローグ形式ですが、
よくある「見方を変えると真実が変わる」っていうようなパターンとは少し違って、
「人の心の奥底の真実の思いは他人にはわからない」ってことを
強く感じさせてくれるパターンだった・・そんな風に思います。
興味深い。。。

現実のニュースなどで見るような 様々な事件も、
犯人のいろんな心理分析がされたりするけど、
ホントの心の中の真実までは報道されないものね。。。



湊かなえ作品、話題になるのもわかるわかる。
また他のも読んでみようと思います。



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