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今日の本:『悪いものが来ませんように』(芹沢央) [本のこと]

「衝撃のラスト25ページ」「絶対だまされて読み返します!」
なんて謳い文句が、文庫の帯に掲げられてるミステリ。
そういうのわざわざ前もって書いちゃっていいんかいな?と
いつも思うのだけど、それでもあえてそういう系を
読みたくなることが時々あるのです。

そして今回選んだのはこれ。

芹沢央
【悪いものが来ませんように】


悪いものが、来ませんように (角川文庫)

悪いものが、来ませんように (角川文庫)

  • 作者: 芦沢 央
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/08/25
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
助産院に勤める紗英は、不妊と夫の浮気に悩んでいた。
彼女の唯一の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。
そして育児中の奈津子も、母や夫、社会となじめず、紗英を心の支えにしていた。
そんな2人の関係が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺死体として発見されたのだ。
「犯人」は逮捕されるが、それをきっかけに2人の運命は大きく変わっていく。
最後まで読んだらもう一度読み返したくなる傑作心理サスペンス!




奈津子と紗英、2人の視点が交互に入れ替わりながら話が進みます。
そこに、この2人に関わる周囲の人々の証言が、
間に挟まれるように書かれる という構成なので、
ちょっと、相関図がわかりにくいのだけど、
‟これは私の理解力が悪いだけかな、まぁいいや、気にせず読み進めちゃえ…”
と読んでいくと、‟ああ、感じていた違和感はこういうことか!”
と、最後に2人の関係性が明かされたときに、
物語の仕掛けにようやく気付くパターン。

なるほど、色んな叙述トリックがあるもんだなーー、と感心してしまいます。
騙された!!!というほどの衝撃はなかったけど、
ああ、そういうことね!もう一回、あの部分を読み返してみよう!
というくらいには楽しめました。

そしてこの話は、
結婚後しても不妊になやむ女性と、
結婚後の子育てに悩む女性、
それぞれの幸せと悩みを浮き彫りにする物語でもあった。
ないものねだりは人の常、
隣の芝は青く見える、
なんてことは、わかっていても、
そういうジレンマを抱えて生きる2人を見てて
なんだかやるせなくなりました。

誰に感情移入していいのかよくわからないまま
終わってしまったのがちょっと残念。
もう少し、救いのあるラストだったらよかったのにな。


でも、また機会があれば、芹沢央さんの他の作品も
読んでみてもいいかな、とは思っております。





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