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今日の本:『そのときは彼によろしく』(市川拓司) [本のこと]

市川さんの本は、好きなタイプの作風なのに、
そういえば【いま、会いにいきます】しか読んでいなかった・・・。
映画化もされて、原作も良い評判を聞くこの作品、
やっと読みました。
そのときは彼によろしく

そのときは彼によろしく

  • 作者: 市川 拓司
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/04/06
  • メディア: 文庫


懐かしい思いが蘇ったり、主人公の感情に共感したり、
なにげない普通の生活を感じたりできる物語なのに、
実はファンタジーでした。
ああ、そうだ。この作風、やっぱり好きだ・・・と実感。

市川さんの本は、
文書が巧みだとか、描写がすごい・・・とはそんなに思わないのに、
読んでいてとても優しい雰囲気に 自然に浸っていける、そんな気がします。
だから、「リアル」を「さりげないファンタジー」で演出しているのが
全然厭味じゃない。
「死後の世界」と、眠り続ける者が見る「夢」が繋がっていること、
そこで出会って言葉を交わすこと、
そんな根拠も確信もない設定が、面白く効いていました。

それから、
少年時代の初恋の懐古を、とってもステキに書いてるところも、とってもいいです。
14歳の智史と、祐二、花梨のエピソードが
三人の絆の強さを感じさせてくれて、
智史の父親が言う「この世界には物理学の教科書にも載っていない強い力」の存在を
きっとホントなんだ・・・と信じさせてくれる。。。そんな感じ。

まだ恋とも呼べない感情に、大人になって改めて気づいて、
それを紡いでいくところや、
「2番目に好きな相手と一緒になるなんて、よくあること。」と理解しつつも
それを選ばなかった主人公の誠実さが、
純としかいいようがないんだけど、とても潔くて彼に似合っています。
だからこそ、ああいう結末は、
心から「よかったね」って思えて、すがすがしかったなぁ。

そして、タイトル、
「そのときは彼によろしく」。
この言葉、きっと作中のどこかに重要な台詞で出てくるんだろうなぁと、
最初から気にしたり予想したりしながら読んでいました。
私は、花梨が祐二に夢の中で言う言葉なんじゃないかな?と想像してたんですが、
なるほど、あの人からあの人への言葉だったのか。。。


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コメント 4

phin

nanayoさん、こんにちは。
良かったですよね。本当に「よかったね」ですよね。読めて幸せになれる作品ですよね。
タイトルが上手く効いているし、言葉の一つ一つも効いているし、ファンタジーな味付けも良いし、うん、清々しい。
智史の父親が何気に重要な鍵を握っている。素敵な言葉も語るし、何より……だし。
結末も良いし、本当に素敵な作品でした。
by phin (2007-07-29 23:31) 

蒼雲

 原作はまだ読んでないけど、映画は一足先に見て来ました。
 良い作品でしたよ。うん、映画はあのメンバーで全然問題なしだと思う。
 小向さんが良いお父さんを演じてました。
 本当にタイトルが生きてますよね。
by 蒼雲 (2007-07-30 01:07) 

nanayo

>phinさん
はい、ほんと「良かった」です。
phinさんのレビューを見て、ずっと読んでなかった市川さんの本を
読みました♪

そうそう、智史のお父さんがいいですよね。
この父子の間柄がとてもステキだし、
サクジとの関係とかもジンときちゃいました。
by nanayo (2007-07-30 21:41) 

nanayo

>蒼雲さん
ああ、お父さん役は こひさんですかー。
それはぴったりかも♪
原作を先に読みたかったので、そうこうしてるうちに映画を
見逃しちゃいました・・・。
でも、DVDになったらきっと見ようと思います!!
by nanayo (2007-07-30 21:44) 

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