SSブログ

今日の本:『キャプテンサンダーボルト』(伊坂幸太郎&阿部和重) [本のこと]

買ったままで置きっぱなしになっていた本、
ようやく読みました。
けど、一度読み始めたら止まらなくなって、一気に読み終わってしまった。
面白かったです。

【キャプテンサンダーボルト】
 伊坂幸太郎&阿部和重

キャプテンサンダーボルト

キャプテンサンダーボルト

  • 作者: 阿部 和重
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/11/28
  • メディア: 単行本

あらすじ:(サイトより転記)
人生に大逆転はあるのか?
小学生のとき、同じ野球チームだった二人の男。
二十代後半で再会し、一攫千金のチャンスにめぐり合った彼らは、
それぞれの人生を賭けて、世界を揺るがす危険な謎に迫っていく。
東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29と、
公開中止になった幻の映画。そして、迫りくる冷酷非情な破壊者。
すべての謎に答えが出たとき、動き始めたものとは――

現代を代表する人気作家ふたりが、
自らの持てる着想、技術をすべて詰め込んだエンターテイメント大作。
     


大人になって期せずして再会した
少年野球チームでチームメイトだった相葉時之と井ノ原悠が、
巻き込まれていく(というか相葉のせいで井ノ原まで巻き込んでいく)
国家レベルの陰謀…。それに立ち向かう話。

少年時代に夢中だったテレビの戦隊ヒーローの「常識を疑え」という決めセリフが、
物語のいろんな場面で、その意味を濃くしていくのがいいですね。



わかりやすい「敵」として出てくる“銀髪の怪人”こと外国人暗殺者の
無敵な強さ(ターミネーターを彷彿とさせる)は凄まじくて
ハラハラドキドキしましたが、
そういう、明確な「恐怖アイコン」よりも、
国や警察ぐるみで隠蔽された、生物兵器開発の事実。
その中で犠牲になった、映画「鳴神戦隊サンダーボルト」中止や、
主演俳優が陥れられた冤罪…、
そして、「そうなった時には、どうにもならないんもんなんだよ。」っていう
元・映画俳優の赤木の言葉が、本作中で一番怖かったなぁ。。。

国の陰謀に対して一個人の力ではどうしようもならない、
という非情さは、伊坂さんの過去作品「ゴールデンスランバー」にも
あったテーマだと思うけど、
この物語では、それでも「逆転は起こり得る」という、もう一つのテーマが
反映されたエンディング展開だったことは、救いがあって好き。
勧善懲悪とまではいかなくても、
物事が少し好転しているような終わり方は、やっぱりいいよね。


そして、なかなかシリアスなスト―リー軸の中でも、
登場人物の相葉や井ノ原の、キャラクターも良かったです。
決して個性的で魅力的、というわけではないし、
境遇だけ見ればもっと悲壮感あっても良さそうなのに、
少年時代の仲間という背景があるせいか、
どこか能天気で、でも前進欲があって、
結局は憎めない性格で・・・てところがね。

あと、ずっと会っていなかった2人なのに、
急にタッグを組んで敵と戦うことになってしまった時に、
昔の共通記憶である少年野球のブロックサインや、
戦隊ヒーローの番組テーマソングを使って意思疎通したり…っていう、
シーンもちょこちょこ盛り込まれてて、
ベタなんだけど、割とそういうのが好きでした。


色んな伏線とその回収、そしてパズルのピース合わせのような
様々なシーンが繋がっていく気持ちいい展開も、
伊坂さんらしさが表れていたような気がします。

あ、でもこれ伊坂幸太郎さんと、 阿部和重さんとの完全共作なんですよね。
阿部作品を読んだことがないので、阿部節は知らないのだけど、
伊坂さんらしい仕掛けやテイストがふんだんに使われていたと思うのだけど、
阿部作品をよく知っている人の意見も聴いてみたいところですね。
ともあれ、どの部分が伊坂さんで、どの部分が阿部さんなのか、
二人の作家の境目が全く分からず、文章の違和感も全くないまま、
気持ちよく読み進められました。
どうやって二人で書いたんだろう?
(・・・と思ってあとで調べたら、
特設サイトの対談で、共作の書き方につては説明されてますね。
http://hon.bunshun.jp/sp/ctb
章ごとに交互に書いて、さらにそれぞれの文章を推敲するみたいな書き方だって。)


うん、面白かった。お勧めです。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0