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今日の本:『木漏れ日に泳ぐ魚』(恩田陸) [本のこと]

久々に読んだ恩田作品。

恩田陸

【木漏れ日に泳ぐ魚】
木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/11/10
  • メディア: 文庫


明日からは別々に暮らすことになった一組の男女の、
アパートの一室で過ごす最後の一夜の話。



男女それぞれの目線から、交互に書かれ、進んでいく話。
「え?一体これは何についての話なの?」と、
読み進めるほどに、途中でわからなくなってく感じは、
恩田作品の独特の世界感。

1つの恋愛の終わりの ロマンチックな(もしくは残酷な)話しなのかと思いきや、
ある男の死の秘密をお互いに暴き合う心理戦になっていき、
更には、そもそもの2人の関係の根本に迫った真実へと展開していきます。

疑問と疑惑の謎解き、
食い違う2人の過去の記憶、
夢が記憶に置き換かわり、
記憶が真実を隠していく…
ミステリなのか、恋愛ものなのか、
なんだかよくわからないままたどり着いたラストは、
読み始めの印象とは全く別の着地点でした。
ミステリ部分の謎解きとしても、
全てはアキの想像で辻褄があっているだけであって、
真実がそうだった、と決まったわけでもない。
でも、きっとその点は多分どちらでもいい部分なのだと思う。
2人の心理戦や、謎解きミステリだと思っていた一夜の物語は、
アキ(女性側)の深層心理をあらわにする物語に終着していった感じ、かな。
いずれにせよ、読み終わって、
全部がストンと腑に落ちる物語ではないです。
ただ、この読了時のフワフワした感じ・・・というか
曖昧な気分が恩田作品の味、なのかもしれない。

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